家を買うなら40代以降、家を売るなら70代がイイ理由

「最終的に得なのは、賃貸か購入か」などの論争が未だに繰り返されています。結論からいうと、賃貸が得か購入が得かは家庭によって異なりますし、より堅実に生きるのであれば、家の買い時と売り時を間違えないようにしたいところです。

また、既婚者と独身者でも意見が分かれることは多いです。「結婚したらマンションを買った方が家賃が浮くからおトクだ」という一見堅実に見える考え方も、実は落とし穴があります。

これまでは、賃貸は家賃がもったいないというのは常識でした。しかしそれは20年前までの話で、今の30代は家は「買うのが遅いほど良いもの」になりつつあるのです。
コツを知っておくだけで1000万円以上もトクをする、これからの時代を生き抜く新たなマイホーム購入法をご紹介します。
それに伴って、売却するタイミングの目安なども時代の流れをみながら紹介していきたいと思います。

◆今の30代は40代で購入のがイイ!2つの理由とは…

マンションを購入するタイミングの多くは、30代で結婚しているカップルが目立ちます。「賃貸は家賃がムダになるからもったいない」という心理によって、一見堅実な意識のもと行動しているように思えます。

しかし実は、今の30代にとって家は、買うのが遅いほど良いものです。その理由は主に2つあります。

理由① 30代はライフスタイルが変わりやすい

1つ目は、これからライフスタイルが変化するかもしれない可能性があるにもかかわらず、住宅だけは固定してしまっては、変化に対応しきれないということです。住宅の買い替えは容易ではありません。

特に30代は生活が変化しやすい年齢です。これから結婚する、あるいは結婚したばかりという人たちにとって、今後のライフスタイルを固定してしまうのはリスクです。子供が何人になるか、転職によって勤務地が変わる可能性の有無など、考えただけでは予測できない要素が非常に多いのです。また、一度住宅を購入してしまうと住み替えが難しいのも問題です。

いまの50~60代の人にとっては家の買い替えはごく当たり前のことでした。結婚してしばらくはアパートや公団に住んで節約し、頭金を貯めてマンションを購入し、マンションが値上がりしたら売却し値上がり益をまた頭金にして一戸建てを購入するという仕組みです。

しかし今は時代が違います。不動産の価格上昇が期待できないので、頭金を少なくして住宅ローンを組むと、マンションの価値よりも住宅ローンの残債が上回ってしまう状態が続いてしまいます。30代で購入したマンションをを売って住み替えようとしたら、売却価格とローン残債の差額を用意し、さらに次に買う住宅の頭金も用意しなくてはなりません。それも、最初に購入したマンションのローンを返済しながら…それだけのお金が必要になるとわかれば、住み替えはあまり現実的ではないでしょう。

つまり、30代で住宅を購入する人にとっての住宅選びは「生涯住む居場所」を決断することに等しいといえるでしょう。
「どんな住宅で生活したいか」を考えるには、ライフスタイルがある程度固まりつつある40代以降にするのが合理的です。

理由② 頭金を用意することで、利息がグンと下がる

二つの理由として、頭金問題があります。30代でしっかり貯金し頭金を多く払うことで、住宅ローンの返済期間は短くなり、場合によっては生涯支出が1000万円以上もカットできます。

住宅ローンの利息をできるだけ減らす方法は、「頭金をなるべく多く払っておくこと」と「返済期間をできるだけ短くする」ことにあります。

極端にいうと、30歳で頭金ゼロで35年ローンを組むのと、10年かけて頭金を貯め借入額を少なくしてから、40歳で25年ローンを組んだ方がお得だということです。

例えば、4000万円のマンションを購入するケースでみてみましょう。
「30歳で頭金ゼロ、35年返済のローン」だと、利息は金利2.5%で約1925万円にもなります。
続いて、「40歳で頭金1500万円、2500万円の25年返済ローン」だと、金利3%にしても利息は約1005万円で済みます。

この差をみてもわかる通り、10年間貯金して頭金を支払うことで、利息は1000万円近くも減らせるのです。

利息が合計いくらになるかを意識して住宅ローンを組んでいる人はわずかです。ほとんどの人は、「毎月の返済額」ばかり気にしています。
しかし重要なのは「ローンを完済できるか」です。支払う利息が1000万円の差になってしまっていれば、完済までの難易度も違います。
30代のうちに頭金をしっかり貯め、40代で家を買い、住宅ローンの返済期間をできる限り短くする」。これが鉄則です。

◇もうすでに購入してしまったら?60歳までに完済を!

もし30代でもう住宅を購入していて、住宅ローンを払い続けているという場合、差額が1000万円にもなるといわれてしまったら、心配になってしまいますよね。

安心してください。そういった方にも対策があります。

大事なのはこれからです!とにかく「60歳までに完済計画」を立てましょう。
60歳までに住宅ローンを完済できるかどうかは、これから住宅ローンを組む人にとっても重要なポイントです。

理由としては、公的年金の受給年齢にあります。今の30代は65歳になるまで公的年金が受給できないので、60歳以降に住宅ローンが残ってしまっていると、家計が破綻してしまう可能性があります。

住宅ローンをすでに組んでしまった人は、銀行へ行って60歳時のローン計算をしてもらいましょう。例えば、60歳時の残高が1200万円で今35歳だとすると、あと25年間であと1200万円の繰り上げ返済をどう行うかを計画しなければなりません。退職金をあてにせずローンを完済すると、60歳以降の生活にゆとりができます。

60歳時の住宅ローンの残高を知っている人は5%以下だといわれています。住宅ローンを組むときでも、自ら金融機関に聞かなければ、ローン残高の推移は教えてもらえません。

「がんばってローンを返してきたのに、残高が思ったよりも減っていなかった」
「50歳をすぎて定年退職を意識し出してから、2000万円以上のローンが残っていることに気がついた」

といった声は少なくないのです。

20年後、30年後に後悔しないために、住宅ローンは利息と返済期間を意識して賢く利用することが大切です。

◆75歳で売った方が良い3つの理由とは?

今までお世話になった家を、どのタイミングで売りに出せばよいか迷う人は多いでしょう。
住まいの売り時として、75歳前後が目安だといわれる理由が2つあります。

それぞれ見てみましょう。

理由① 家の老朽化

定期的にメンテナンスをしていればあまり感じないかもしれませんが、家は確実に老朽化します。

一戸建ては30年で資産価値がゼロになり、マンションは10年で資産価値が半分になるといわれています。

数十年前に購入した家の資産価値をまずは知っておきましょう。

家主が高齢化して、空き家になってしまう等があれば、さらに老朽化は加速します。
そうなる前に、我が家の捨て方は考えておくべき問題でしょう。

【家の老朽化に関する記事】

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マンション投資はハズレクジ!不動産投資のリスク・コスト21選
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理由② 100年人生

平均寿命は年々伸びていて、人生100年といわれる時代です。

ライフプランや老後の住まいはそのままで大丈夫でしょうか?これから数十年の間に不動産の未来がどうなるか絶対ではありませんが、空き家が続出するのはほぼ確実だといわれています。

持ち家をいくつで手放し、それからの生活をどうするかなどは、家族でも話し合っておきたい事項です。

【ライフプランと家に関する記事】

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理由③ 老人ホームへの入居時にかかる頭金

大切な資産である住まいを売るときに挙げられるのは、「まとまった資金が必要になった時」ではないでしょうか。

例えば、一時金や毎月の利用料を支払うことになる「老人ホームへの入居」のために家を売却する人も少なくありません。
男性だと75歳くらいから歩行や自力での入浴が難しくなり、この年齢が老人ホームへの入居の目安だといわれています。施設の入居を逆算しながら、資産状況なども見ておかなくてはなりません。

一般的な有料老人ホームの支払い方法は「入居一時金+月払い」と「完全月払い」の2パターンです。入居一時金はいわば”頭金”を意味しており、月額の利用料が安くなります。

例えば一時金1000万円で月額20万円という一般的な施設の場合、入居から5年経過すると完全月払い40万円の施設より支払い総額が少なくなる計算になります。その後は毎年240万円の差が出てくるので、体の自由が利く75歳の時に一時金方式で入居すれば、長生きすればするほどお得になります。

そのため、自宅を売却して入居一時金を捻出することが最も有力な選択となるでしょう。その際に迷うのが、家を売るタイミングとして老人ホームへの「入居時」か「入居後」かという点です。

住み慣れたおうちを手放すことに抵抗を感じるかもしれませんが、家は時間が経つほど資産価値が下がります。特にマンションは築20年を過ぎると資産価値が半分以下になるとされています。
老人ホームへの入居費で子供に負担をかけたくない人にとって、75歳での入居時に売却を目指すのが理想とされています。

また、老人ホームへ入居してから一定期間を経て売却した場合、多額の税金がかかるケースがある点にも注意が必要です。
というのも、自宅の売却で課税対象となる”利益(売却価格-購入価格)”が出るはずがないと考えている人が多いですが、意外とそうではありません。

例えば親から相続した家に住んでいる方は要注意です。購入した際の契約書が見つからず、取得費不明の場合、購入価格が非常に低いもの(売却代金の5%)として扱われてしまいます。
つまり自宅の売却でも、証明するものがないために自動的に多額の利益が出たものとして税金が課せられてしまうのです。

マイホームの売却益は通常、「3000万円の特別控除」が受けられます。ただし、「この特例は自宅に住まなくなって3年後の年末までに売らないと適用されない」とされています。

老人ホームに入居から、3年後の年末に売った場合と、それ以降に売った場合は、納税額に600万円以上の差がでる可能性があります。
体の自由が効きにくくなったと感じたら、「我が家の捨て方」について損のない方法を知っておきましょう。そして、我が家を捨てるにもリスクもあると知っておきましょう。

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◆まとめ│2019年のマイホーム論にアップデートが必要

昨今、家に関する論争は真っ二つに分かれています。

賃貸か、持ち家か。
家族構成や働き方、貯金額によっても異なります。自分が一番過ごしやすいライフスタイルを優先するのが良いでしょう。

ただ、わかっていただきたいのはこれまでの持ち家派は、不動産価値の上昇がもたらしていた一般論だということです。不動産の価値が変わらないもしくは上昇することで、家を買い替えることができ、購入⇒売却⇒新たな物件の購入というサイクルが可能だったのです。

しかし、今は持ち家論だけひとり歩きしている状態です。不動産の価値が下がる可能性もあるため、一概に購入が正しいとは言えなくなってしまいました。

そうした背景を理解した上で、家に関する情報もアップデートが必要になりました。市場や景気を見て、自分の家計と相談しながら、持ち家か賃貸かを判断する必要があります。
それぞれの家計によって異なるので、状況判断能力が問われる時代になってきました。

購入も売却も、上記の内容をしっかり把握し、”頭金”をしっかり理解し賢く利用してみましょう。

人生の最終ゴールなどを決めながら、ライフプランをある程度設計しておくことをオススメします。

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