ローンを組んで投資用不動産は正解?不正解?関係者が本気で語る

近年不動産業界では住宅ローンに対する金利優遇がすすみ、最高で0.5%台の金利でローンが組める商品なども続々登場してきています。その波を受けて投資用不動産に対するローンの金利も、以前は3〜4%を超えるものが当たり前でしたが、現在では条件が揃えば1%台で組める商品も増えてきました。

そこで今回は、投資用不動産を購入する際のローンについてご説明したいと思います。ローンといっても、住宅ローンと投資用不動産のローンは全く別物なので注意が必要です。

①投資用不動産とは?

基本的には、不動産を所有して、賃貸に出す事で家賃収入を得る事を目的とする不動産を指します。まず投資用不動産とはどんなものがあるのかご説明していきます。

1.ワンルームマンション

投資用不動産としてニーズが最も高いのがワンルームマンションです。郊外であれば数百万円程度、都心部(港区、千代田区、中央区、渋谷区など)でも1,000万円〜2,000万円ほどで購入ができ、サラリーマンの方が年金の代わりに購入をしたりと不動産投資が初めての方にもオススメです。

2.アパート、一棟マンション

ワンルームマンションに比べると金額も上がり管理業務も増える為、比較的投資用不動産に慣れている方や上級者の方にニーズが高いです。しかしながら一棟の建物内で複数の賃貸ができる為、空室のリスクを減らすことができます。主に中古で購入する方がほとんどですが、土地を購入してご自身で新築のアパートやマンションを建てる方もいます。

3.賃貸併用住宅、テナント併用住宅

こちらはマイホームと投資用不動産を同時に手に入れたい方にオススメです。1つの建物の中に、自身の居住用スペースと、賃貸住戸を設けることによって、管理もしやすいですし、家賃収入も得られるという事で人気があります。また一階部分をテナントにして貸し出し、自身の居住用スペースを2階以上に設ける、『テナント併用住宅』というものもあります。多くがご自身で新築されるケースですが、中古での流通もありますので、予算がある方にはオススメです。

4.その他収益不動産(一棟ビル、店舗など)

こちらはかなり上級者向けの投資用不動産になります。不動産業に従事している方や、不動産投資で生業を立てている方でないと、管理や修繕が大変な為、初心者にはオススメできません。しかし、ハイリスクながらハイリターンな不動産投資が行えます。

②ローンを組んで投資用不動産を購入した場合のシミュレーション

それではここからは実際に投資用不動産を購入した場合のシミュレーションを、現金購入の場合と、ローンを使用した場合で見ていきましょう。

例)

・ワンルームマンション
・価格:1,000万円
・月額:60,000円にて賃貸中
・中古にて購入
・表面利回り:7.2%
・管理費、修繕積立金合計:10,000円(月額)

『ケース1.現金にて購入した場合』

【初期費用】
・物件価格 ¥10,000,000-
・仲介手数料 ¥388,800-
・登記費用 ¥70,000-
・印紙代 ¥5,000-
ーーーーーーーーーーーーーー
・合計 ¥10,463,800-

となります。毎月60,000円の家賃収入がある為、月々10,000円の管理費、修繕積立金を払っても50,000円の収入となります。

上記の合計でみた、実収入での利回りは、
50,000×12÷10,463,800=5.73%
となります。これであればもちろん場所や築年数にもよりますが、投資としては成り立ちそうですね。では次にローンを組んだ場合で見ていきましょう。

『ケース2.現金にて購入した場合』

【条件】
投資用ローンにて購入
金利:1.7%
借入期間:35年
保証料:20,620円(借入金額100万円に対し)

【初期費用】
・物件価格 ¥13,274,940-※(金利を含む)
・仲介手数料 ¥388,800-
・登記費用 ¥100,000-※
・印紙代 ¥15,200-※
・保証料 ¥206,200-※
ーーーーーーーーーーーーーー
・合計 ¥13,985,140-

※が付いているものが現金で購入した場合から増額、または新規で必要となる費用になります。
上記の合計でみた、実収入での利回りは、

50,000×12÷13,985,140=4.29%

となります。

注)上記シミュレーションには、固定資産税、都市計画税は考慮しておりません。
また仲介手数料は正規手数料(売買価格×3%+60,000円×税)で計算しております。
登記費用については概算となります。

表面利回り⇨年間賃料÷物件価格

上記はあくまで単純なシミュレーションですが、投資用不動産を買う場合、現金で購入する場合とローンを組んで購入する場合ではどちらが得かは一目瞭然です。この様に、単純な利回りだけで見れば良さそうな投資に見えますが実際購入したらほとんど収入が無かったり、むしろ毎月のローン返済で赤字になってしまうなどというケースもございます。その為投資用不動産を購入する際のローンには非常に注意が必要です。

③どういった人が不動産投資で成功、失敗しているのか?

では不動産投資を始めたいが、そこまで手持ちの現金が無いという方はどうすれば良いのでしょうか。ここからは不動産投資でどんな点に気をつければよいのかご説明していきます。

1.新築ワンルームマンションはNG

よく不動産仲介の現場で多いのが、新築のワンルームマンションを所有しているが売却をしたい。というケースです。なぜこの様な問い合わせが多いかというと、大半は新築時の売主に良い様に言いくるめられてしまっているからです。

新築時よりも売却時は価格が上がる
単純な利回り計算を見せられ、月々プラスになる
年金や将来の為にみんなもっている

上記は新築のワンルームマンションを販売する時の常套句です。

結果として相談者の多くは、空室になった時に賃料が入ってこない場合に返済ができない。築年数が経過し、家賃が下がっていき、家賃収入よりもローンの返済の方が上回ってしまっている。などという理由から売却を検討します。

しかしながら中古不動産の売買の現場では、こうした築浅のワンルームマンションはかなり売りづらいのが現状です。理由としては、単純に利回りが低い点と、ローンの残高が残っている場合がほとんどで、売却金額が相場よりも高くなってしまう。という理由です。

こうした様に新築のワンルームマンションをローンを組んで買う場合にはその先のリスクなどをよく考えた上で資金計画を組む事が非常に大切になります。

2.築年数が経過したマンションを購入する

不動産と言えば、ピカピカで新しいものの方が良いと思いがちですが、投資においては必ずしもそうとは言えません。と言うのも、築年数が経過したもの程、利回りが高く、なおかつ値崩れしにくいからです。

特にローンを組んで購入した場合、最も大事なのが次に売却した時に値崩れしない事です。ある程度築年数が経過したマンションであれば、既に購入時の価値も家賃もある程度下がりきっていますので、次に売却した時にも値崩れがしにくく安定した投資が可能です。

成功している投資家の方は、投資で回している時のことだけで無く、次に売却した時のことまで考えて購入をしています。

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③最後に

実際に投資用不動産で成功している方は数多くいます。皆さんが今後投資用不動産を買われる際には、

その物件を購入するのにかかる総額
毎月の返済と家賃収入のバランス
現金とローンの資金計画
将来的に売却した時の予想

上記の点に注意してご購入されると良いでしょう。

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【筆者紹介|この記事を書いたのはこんな人】

名前:Hさん(仮)
性別:男性
年齢:20代後半
地域:東京
職業:不動産売買
年数:4年(継続中)
得意分野:都心部(港区、中央区、渋谷区、千代田区、新宿区)の中古マンション仲介

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