マンションをはじめ不動産を売却するときには、主に「仲介」と「買取」の2つの方法があります。この2つにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらが良いかは人によります。
そこで今回は、この「仲介」と「買取」のメリット・デメリットを詳しく解説するので、どちらが良いかの基準にしてください。
ちなみに・・・細かく言うと売り方は4つあります。「仲介」「買取」「個人売買」「オークション」です。⇒仲介から個人売買まで、不動産売却の方法4つ
その中から最も検討がなされる「仲介」と「買取」を比較してみました。
1.仲介のメリット・デメリット
そもそも、仲介とは通常の不動産売却方法のことをいいます。つまり、不動産会社に自分の不動産売却を依頼して、不動産会社が買主を探してくる(仲介する)という売却方法です。
1-1仲介のメリット
仲介のメリットは「売却金額が高い」という点です。ここでいうメリット・デメリットは次項で解説する「買取」と比較してのお話です。マンションを仲介する場合は、通常3か月以上の時間をかけてマンションの売却をします。
そのため、はじめは相場価格より高めに設定して売り出し、売れ行きを見て徐々に売り出し価格を下げるなどの売り方ができるのです。そのため、競合環境などの運が良ければ、相場価格より高めの価格で売却できることもあります。
相場価格はあくまで「売れるだろう」という想定の価格なので、相場価格を下回って売却する場合もあります。ただ、それでも買取価格より下回ることはほぼないでしょう。
1-2仲介のデメリット
一方、仲介のデメリットは以下の通りです。
・決済が遅い
・売却活動がある
・瑕疵担保責任がある
先ほどいったように、上記はあくまで「買取と比較して」ということです。まず、一般個人が買主になるので、住宅ローンを組んで購入することがほとんどです。そのため、まず仮審査をして仮審査が承諾した後に売買契約を結びます。
その後にも、住宅ローンの本審査をして承諾を得て、買主と金融機関が金銭消費貸借契約(住宅ローンの本契約)を結びます。この一連の仮審査~金銭消費貸借契約は1か月以上かかる場合もあります。そのため、たとえ契約しても決済するまでのスピードは遅いです。
また、仲介は内覧者(物件見学者)を接客する必要があります。接客自体は不動産会社の営業マンが行いますが、「掃除」や「アポ調整」などは売主も行います。売却が終わるまでは売主はこのような売却活動への協力があるので、買取よりも売却する手間がかかります。
さらに、買主が一般個人なので、売主は瑕疵担保責任があります。瑕疵担保責任とは、「引渡後に隠れた欠陥があった場合に売主が保証する」という責任です。通常は、引渡から半年~1年程度の期間を定め、瑕疵担保期間とします。
つまり、この期間に建物の欠陥が見つかったら、引渡後でも売主が責任を持つということです。
【「瑕疵担保責任」について】
・瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは?
・「心理的瑕疵あり」は事故物件などが関係している!売却時の告知義務について
2.買取のメリット・デメリット
一方、買取とは不動産会社が買主を探すのではなく、不動産会社が自ら買主となることです。不動産会社は買い取った後のマンションを転売したり、賃貸したりします。
2-1買取のメリット
買取のメリットは以下の通りです。基本は、前項で解説した「仲介のデメリット」の逆になります。
・決済が早い
・売却活動が楽
・周囲に知られる心配がない
・瑕疵担保責任がない
まず、買主が不動産会社なので決済が早いです。なぜなら、不動産会社は現金で購入する場合が多いので、ローン審査などがないからです。仮に、金融機関からの融資を受ける場合でも、審査スピードは一般個人より早いです。
仮に現金で購入になると、申込~引渡しまでは最短で1週間程度で完了することができます。この決済スピードが買い取りを選んだ場合の最大のメリットになります。
また、買取は売却活動がほとんどありません。買取をする場合には、まず不動産会社が家を見に来ます。そして、大抵の場合はその場で査定金額を算出し、それが買い取り金額になります。そのため、査定時に申込を受け付ければ、数日後には契約を結べるというスケジュール感です。
つまり、内覧者がいないので、掃除やアポ調整などがなくなるということです。また、買取の場合は周囲に知られることもありませんし、不動産会社が買主なので売主は瑕疵担保責任がなくなります。
2-2買取のデメリット
一方、買取のデメリットは「売却価格」になります。売却価格が仲介と比較してどれだけ下がるかは物件によりますが、一般的には相場価格の7~9割程度まで下がってしまいます。不動産会社も買い取った後に、買取金額よりも高値で転売するので相場価格では買えないのです。
たとえ相場価格の9割で買い取れたとしても、相場価格が2,800万円であれば相場価格より280万円も安くなります。ここまで価格が下がってしまうことが、買取を選択する最大のデメリットです。
3.まとめ
このように、マンションを売却するときの手法である仲介と買取はメリット・デメリットがはっきりと分かれています。
どうしても「決済スピードを早めたい」人は、買取をするべきです。しかし、売却金額は落ちてしまうので、決済を早める必要がない人は、通常の「仲介」で不動産の売却をすると良いでしょう。
【「仲介」まとめ】
メリット
・売却価格が高い
デメリット
・決済が遅い
・売却活動がある
・瑕疵担保責任がある
【「買取」まとめ】
メリット
・決済が早い
・売却活動が楽
・周囲に知られる心配がない
・瑕疵担保責任がない
デメリット
・売却価格が安くなってしまう