これまでのガスコンロや灯油の給湯器に代わって、家庭内のすべてのことを電気で行う「オール電化住宅」が急速に普及しています。
ただし、オール電化対応の機器を全て購入すると結構な金額になるため、機器をリース契約している人も少なくありません。
利用している分には、イニシャルコストを抑えつつ快適な生活を送れる良い契約手段ですが、いざマイホームを売却しようとなると面倒なこともあります。
今回は、マイホーム売却時におけるオール電化のリース契約の取り扱いについて説明します
■関西電力「かんでんeリース」は10年未満の利用なら購入よりお得
とはいえ、オール電化機器のリース契約について知らない人も多いので、まずはその概要を説明しましょう。
中国電力や四国電力などの地域電力会社もリース契約を取り扱っていますが、関西電力の「かんでんeリース」は、関西電力が100%出資する「かんでんEハウス」が提供しているサービスで、最新のオール電化機器を月々わずかな負担で利用できるサービスです。
その概要を以下で紹介します。
対応機器 | ・エコキュート
・IHクッキングヒーター ・エアコン ・蓄電池(近日予定) ・電気温水器(近日予定) |
加入条件 | ・関電グループから電気供給を受けている
・申込時年齢が20~70歳 ・かんでんEハウスの与信基準を満たす ・家庭用としてリース物件を利用する ・戸建住宅・集合住宅の所有者 |
リース期間 | 10年 |
対象エリア | 近畿2府4県(一部対象外エリアあり) |
支払方法 | 口座振替 |
月々のリース料金(税別) | ・IHクッキングヒーター:1,600円~
・エコキュート:4,690円~ ・IH&エコキュート:5,810円~ ・エアコン:1,380円~ |
ちなみに、エコキュートをリースではなく購入した場合、3~5人向けの370Lタイプのもので設置工事費用も含めて60万円台の商品が多いです(「エネチェンジ」より)。
一方、かんでんeリースのエコキュート月額料金4,690円~には、設置工事費用も含まれており、10年弱程度の利用で比較をするとリースの方が得をするという計算になります。
■途中解約は原則としてできない
かんでんeリースに限らず、ほとんどのオール電化リース業者では、契約期間中の解約は原則としてできません。
しかも、機器代も高く設置費用などで結構なお金が業者側に発生するため、その元を取るべくその契約期間が10年程度とかなり長いです。
夢のマイホームを購入したは良いものの、転勤などの理由でマイホームを離れなければならず、やむなくマイホームを手放す事情もあるでしょう。
その際には、以下の3つの選択肢をとることができます。
□移設費用を自己負担で移設をする
まずは、リース中のオール電化機器をそのまま新居へ移設する方法です。
ただし、移設に伴う運搬費用や設置工事費用などは、利用者の負担となります。
新居の場所や形状などによって移設費用は変わってきますので、新居がオール電化にある程度対応している状況の方向けです。
□名義変更をする
また、リース契約の名義変更をするという方法もあります。
これまで住んでいたマイホームに新たに住む住人がオール電化契約のリースを希望しているのであれば、非常に有効な方法です。
変更するのは名義のみで、契約内容は一切変更されませんので、リースの残存期間などもそのまま引き継げます。
ただし、新たな住人がオール電化のリース契約を希望していない場合は、この方法を利用することができません。
□解約金を支払って中途解約する
新居でオール電化のリース契約をする予定はないし、かといって新たな住人もオール電化のリース契約を希望していないとなれば、リース期間満了まで以前の住人が毎月のリース料金を支払わなければなりません。
リース契約を満了した上で解約をする際も、撤去費用(1~2万円程度)を支払う必要があります。
ただし、それはあまり現実的な方法とはいえませんので、リース期間中に解約するのがいいでしょう。
契約期間中の解約は原則としてできませんが、やむを得ない事情がある場合には解約も可能です。
引越しなどもやむを得ない事情に含まれるでしょう。
引っ越し先が関西電力の供給エリアでなければ、加入条件の「関電グループから電気供給を受けている」を満たせません。
ただし、期間中の中途解約については解約金が発生します。
解約金の内訳は、「残リース料」「撤去費用」などです。
■オール電化のリース契約の旨を仲介業者に知らせておこう
オール電化リース契約の住宅を売却しようと考えている方は、その旨をあらかじめ不動産仲介業者に知らせておくといいでしょう。
住宅の売買契約とオール電化のリース契約は別個のものであり、ここを明確にしておかないと、売主と買主の間でトラブルの元となります。
「オール電化付きの住宅がこの値段なんてお得」と思い購入を決めた買主も、それがリース契約となれば購入を取りやめる可能性もあるからです。
仲介業者に売主と買主の間に入ってもらい、オール電化のリース契約をどうするかを決めるとスムーズに行きます。