マンションの中には「オーナーチェンジマンション」と言われるマンションがあります。オーナーチェンジマンションは、通常のマンションとは根本的に異なるため売却方法も異なります。そこで今回は、オーナーチェンジマンションを売却するときのコツを詳しく解説します。
1.オーナーチェンジマンションとは?
そもそもオーナーチェンジのマンションとは、賃借人がいる状態でマンションを売却することをいいます。つまり、賃借人側からすると、オーナー(所有者)が変わり(チェンジ)ます。また、その物件の購入者側からすると、自分がオーナーに変わります。そのため、オーナーチェンジといわれるのです。ただ所有者が変わる状態をいうわけではありません。オーナーチェンジの意味を勘違いしないように気を付けてくださいね。
オーナーチェンジの例は下記のようなものがあります。
・大家さんが所有していた賃貸マンションを、入居者はそのままに一棟まるまる売却することにした
・所有し、自身も住んでいた部屋を売却せずに貸していたが、入居者が退去になる前に売却することにした
ただし、マンションを売却しオーナーが変わったとしても入居者にわざわざ連絡などはしません。
所有権(オーナー)が変わるだけです。そのため、ほとんどの入居者はオーナーが変わったことに気が付かないことも多いです。
1-1オーナーチェンジ物件売却の流れ
オーナーチェンジマンションを上手に売却するコツを知るためには、そもそもオーナーチェンジマンションはどのような流れで売られているかを知らないといけません。なぜなら、オーナーチェンジマンションは通常のマンションとは売却手順が異なるからです。
オーナーチェンジマンションは以下のような流れで売却します。
・物件の査定を行う
・不動産会社と媒介契約を締結
・売却活動を行う
・検討者との交渉
・売買契約書と賃貸借契約書の締結
・物件の引渡
上記の流れで、通常のマンション売却時と大きく異なる点は、「売却活動」と「契約の締結」時です。あくまで「賃貸中の投資マンション」を売却するので、ターゲットがそもそも異なってくるのです。
1-2オーナーチェンジマンションのターゲット
通常のマンション売却の場合には、そのマンションに「居住」する人がターゲットになります。自宅として購入する人を対象としているためです。しかし、オーナーチェンジマンションは基本的には「投資用マンション」の扱いになるため、投資用不動産を探している人がターゲットになります。
そのため、広告宣伝の仕方や接客方法、そして用意する資料などが通常のマンション売却時とは全く異なります。この点に関しての詳細は後述します。
この時点で、「自宅を購入希望している人」はターゲットから除外します。
自宅用となると多少面倒なことが出てきます。それは内覧であったり、対応です。入居している人がいると余計にそういった煩わしいことは避けなくてはなりません。住まいを探している人は内覧の時点で断ってしまうのも一つの手でしょう。
2.オーナーチェンジマンションを上手に売却するコツ
前項のように、オーナーチェンジマンションの売却は、通常のマンション売却とは異なる点が多いです。そのため、通常のマンション売却とは異なる、以下の点が上手に売却するコツになります。
・レントロールを正確に作成する
・設備の一覧表を作成する
・不動産会社選び
・入居者が事前に退去しないように対策しておく
不動産の売却のコツと被っている点もありますが、投資用のマンションは特にそれが如実に表れると思っておいてください。
2-1レントロールを正確に作成する
レントロールとは、日本語でいうと「家賃明細書」になります。実際のレントロールには、家賃以外にも以下のような情報が記載されています。
・部屋の号室
・間取りや広さ
・部屋の家賃や共益費用
・既に預かっている敷金
・入居者の属性
2-1-1物件情報を把握する
まず、購入検討者は上記のレントロールの項目で、物件情報を把握する必要があります。どのくらいの規模の部屋で、家賃や敷金、共益費がいくらなのか。そして、預かっている敷金がどのくらいであるのかなど、自分がオーナーになったときの収支を組むための情報をレントロールから得ます。
2-1-2入居者の属性
次に、既に入居している賃借人の属性をチェックします。属性とは、年齢や職業や会社、そして過去の家賃滞納歴など色々な角度からの情報です。この入居者属性をチェックすることで、購入検討者は「今後賃料は安定して継続的に得ることができるか?」を判断します。
入居者が富裕層向け、庶民向け、学生向け、家族向けなどによっても変わってきます。審査することも含めてしっかり把握しておきましょう。
2-2設備の一覧表を作成する
つづいて、オーナーチェンジマンションの売却は、設備一覧表を作成しましょう。なぜかというと、オーナーチェンジ物件は賃借人が居住中であるので、購入検討者が室内をチェックできないからです。そのため、室内の設備をまとめておく必要があるということになります。
具体的には室内の以下の設備を一覧にしておきましょう。
・エアコンや照明の数および設置個所
・食洗器などのキッチン設備
・浴室乾燥機などの浴室設備
・床暖房などの居室設備
これらの情報をまとめておかないと、そもそも物件にどんな設備が備え付けてあるか分かりません。数少ない情報でも、購入検討者が判断材料になりそうな資料は極力用意しましょう。
2-3不動産会社選び
オーナーチェンジマンションを売却する最後のコツは、不動産会社選びです。繰り返しますが、オーナーチェンジマンションの売却は、不動産投資をする人がターゲットになります。そのため、先ほども少し触れましたが、以下の点に注意しましょう。
・不動産投資家を顧客として持っているか
・投資物件の管理などのノウハウがあるか
・広告宣伝などのノウハウがあるか
これらの判断する材料の1つは、過去の売却実績です。過去の売却実績の多くは投資不動産であれば、顧客を抱えたりたり、さまざまなノウハウがあったりします。いずれにしろ、通常のマンションとは全く異なる顧客がターゲットになる点は理解しておきましょう。
2-4入居者が事前に退去しないように対策しておく
こちらも通常の不動産売却とは異なる点です。
オーナーチェンジの売却において、最も多いトラブルが「売却してすぐに入居者が退去した」というものです。タイミングなどもあるでしょうし、それぞれの事情はありますが、オーナーが変わってすぐに退去となると、予定していた家賃収入も入りませんし「話が違う!」となっていまいます。
場合によっては裁判沙汰になるなんてこともあります。
そのため、契約時前後は慎重にするに越したことはありません。売却前~売却後しばらくは退去者が出ないように対策を取っておきましょう。
おすすめは「更新手数料を無料にする」ことです。契約更新期間が迫っている場合(約3ヵ月前ほど))などは、全員「早めの更新手続きをすると、更新手数料を無料にします」といった手紙をあらかじめ投函しておき、出来る限り退去を防ぎましょう。
更新費用は数万円かかるので更新費用を払うのが嫌で引っ越すという方もいらっしゃいます。こういった手紙を出すことで、退去を思いとどまらせるのと同時に、退去しそうな人を把握することができます。もし事前に退去しような人がいれば購入希望者に伝えておきましょう。後で知らされるとそれだけトラブルにもなりかねません。事前の対処が物を言います。
3.まとめ
オーナーチェンジマンションを上手に売却するコツは以下の通りです。
・レントロールで物件情報と入居者情報を伝える
・設備一覧表など購入検討者の判断材料を増やす
・投資物件売却のノウハウが豊富な不動産会社を選ぶ