不動産を売却する方法として、買取再販業者に買い取ってもらうという方法があります。一般的にこの方法は「買取」といわれていますが、買取は通常の仲介とは異なるメリット・デメリットがあります。その点を良く理解して買取を選択しなければいけません。今回は、そんな買取のメリット・デメリットを解説します。
1.買取再販業者とは?
そもそも買取再販業者とは、不動産会社自らが不動産を再販目的で買い取ることをいいます。通常の不動産の売却は、不動産会社に「仲介」を依頼します。つまり、不動産会社が売主と買主の仲介人となるため、不動産会社が不動産を買い取るワケではないのです。
しかし、買取は不動産会社が直接物件の買主になります。そのため、通常発生する「売却活動」がなくなり、売主にとっては手間がなくなるなどのメリットがあります。
信用情報は信用情報機関に保管されています。
信用情報機関には、消費者金融や銀行など、信用情報を用いて審査を行うあらゆる業者が加盟しており、加盟する業者間で情報を共有することで、審査の精密性を向上させています。
1-1再販買取業者の種類
再販買取業者は、さまざまな不動産業者が行っています。土地を仕入れて建築して販売する「不動産ディベロッパー」でも買取をしている会社もありますし、仲介を専門としながら買取をする会社もあります。しかし、一番多いのは「買取」のみを専門にしている不動産業者です。また、小規模な仲介業者が買取業をしている例は極めて少ないです。
理由は、買取には資金力が必要で、ノウハウも必要だからです。買取をするということは、一千万円単位のお金が必要になります。買取の際は現金一括購入する場合も多いので、ある程度の資金力が必要です。そのため、運転資金を捻出しにくい小規模な仲介業者だと買取業を行うのは難しいです。
また、買い取った後に転売する際、「リノベーション」することも多いです。そのため、リノベーションのノウハウが必要になります。たとえリノベーションしなくても、自らが売主になり販売するのはノウハウが必要なので、慣れていない小規模な不動産業者には難しいです。
1-2利益の上げ方
買取業者の利益の上げ方は、「転売益」になります。つまり、安く物件を買い取って、それ以上の価格で売ることによって利益を得ているということです。これは後述する「デメリット」にも関連することなので認識しておきましょう。
1-3不動産一括査定サイトの利用
結論から言うと、不動産一括査定サイトで買取を査定することは可能です。大手不動産一括査定サイトであれば、「不動産買取」という項目があり、それを選択して査定すれば買取価格を算出することができます。
基本的な仕組みは通常の一括査定サイトと同じなので、一度の入力で複数社に査定依頼が可能です。ただ、買取業者は仲介業者よりは少ないので、物件のエリアによっては少ない数の会社にしか査定できないこともあります。
2.買取再販業者のメリット・デメリット
前項で少し「メリット」について触れましたが、買取再販業者の買取を利用すると大きなデメリットもあります。そのデメリットを踏まえた上で「買取」を選択しないといけません。まず、買取のメリットから解説します。
2-1買取のメリット
買取のメリットは以下の点になります。
・決済スピードが早い
・売却活動がない
・周囲に知られない
・瑕疵担保責任がない
2-1-1決済スピードが早い
買取をする最大のメリットは決済スピードが早いという点です。決済スピードが早いとは、売主が現金を受け取るスピードが早いということです。そのため、買取を利用するときは、何かの事情があって迅速に不動産を現金化するときに利用されることが多いです。
決済スピードが早い理由は、不動産会社が現金で買い取ることが多いからです。通常の売却だと、一般個人が住宅ローンで購入するので、審査や契約などの手続きに時間がかかります。住宅ローン審査の進捗が遅いと、仮審査から決済まで1か月以上かかることも少なくありません。
特に、ローンの本契約である「金銭消費貸借契約」は平日に借入者自らが金融機関へ行く必要があるので、サラリーマンなどは中々時間の調整ができないのです。
また、不動産会社は現金ではなく融資を受けて購入することもありますが、その場合でも一般個人より審査スピードは格段に早いです。
2-1-2売却活動がない
前項でもいいましたが、買取を選択すると売却活動がほぼありません。通常は、広告をして内覧者を集めて、実際に室内を見せてから契約行為をします。しかし、買取の場合は不動産会社が査定をして室内を見て、その場で購入金額を提示することが多いです。
つまり、その場でYESかNOの返答ができるので、いちいち内覧をすることがないのです。内覧をしないとなると、掃除なども不要ですし、休みの日にわざわざ時間を空ける必要もありません。この点は、買取を選択するメリットといえます。
2-1-3周囲に知られない
このような売却方法なので、買取をすると周囲に売却を知られるリスクが極めて小さいです。広告もしないですし、REINSにも登録しないので第三者は知る術がないからです。ご近所さんの手前、何かの事情でこっそり不動産を売却したい場合にも買取という手法は良い手法です。
2-1-4瑕疵担保責任がない
不動産を売却すると、売主には瑕疵担保責任が発生します。瑕疵担保責任とは、不動産を引き渡した後に欠陥(瑕疵)が見つかったら、売主の責任で補修などを行うことです。しかし、この瑕疵担保責任は買主が一般個人の場合に限られるので、不動産業者が買主の買取は瑕疵担保責任がなくなります。
【瑕疵担保責任は厄介だからこそ嬉しいかも】
・瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは?
・「心理的瑕疵あり」は事故物件などが関係している!売却時の告知義務について
2-2買取のデメリット
買取のデメリットは、売却金額が下がるという点です。このように、買取は1つしかデメリットはありませんが、非常に大きなデメリットになります。物件によってどの程度売却金額が下がるかは変わりますが、一般的には相場価格の7~9割ほどまで下がってしまいます。
たとえば、4,200万円が相場価格であれば、2,940万円~3,780万円が買い取りの相場となります。かなり金額に幅がありますので、買取再販業者は複数社に査定依頼することをおススメします。不動産を売却するエリアに購入検討者を抱えている買取再販業者の場合、買取価格は高くなる傾向があります。
買取再販業者は、先ほど言ったように買い取った後に再販します。そのため、相場価格で買い取ってしまうと、相場価格以上での売り出しをしないと利益が出ません。しかし、相場価格以上の売り出しだと中々売れないので、買取価格を相場価格より下の価格にして利益を出しやすくしているというワケです。
3.まとめ
このように、買取再販業者が買い取りをするときには、「売却金額が下がる」という大きなデメリットがある点は理解しておきましょう。上述したとおり、このデメリットを払しょくするためには複数社へ査定依頼をして、一番高く買い取ってくれる買取再販業者を見つけることです。
また、「決済スピードが早い」というメリットに魅力を感じなければ、買取という売却方法はデメリットの方が大きいので、通常の「仲介」での売却をオススメします。