【積水ハウス63億詐欺】不動産会社も騙される「地面師」って?

◆「積水ハウス63億円詐欺事件」が発生

2017年8月2日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。

大手住宅メーカー「積水ハウス」が70億円の土地取引においてトラブルが発生した。既に63億円は支払い済で、地面師による詐欺事件であることがわかっている。積水ハウスは捜査当局に刑事告訴し、世間を驚かせた。

引用:こちらより公式に発表

舞台となったのは東京・五反田の一等地約600坪で、後になりすましによる犯行だと発覚した。ここには「海喜館(うみきかん)」(東京都品川区西五反田2-22-6)という旅館がある。いま最も注目を集める不動産だろう。佇まいが独特の雰囲気を醸し出しており、別名「怪奇館」とも呼ばれている。

今回積水ハウスが被害に遭った詐欺事件の概要は、典型的な地面師事件である。本物の所有者が知らない間に本人確認のための印鑑登録証明証、パスポートが偽造され、それを利用して手付金をだまし取ったのだ。

なりすまし犯はわかっている。過去にも同じような事件を起こしたことがある人物で、業界の間では「池袋のK」と呼ばれているこの女だ。おそらく、この女を含む詐欺グループのメンバーは海外逃亡をしていると考えられている。面が割れてしまっているので二度と同じ犯罪は出来ないし、日本にいたらいつ逮捕されてもおかしくないためだ。

ただ、地面師による犯罪の難しさが、他にもある。この女のように、なりすましている犯人意外が、「あとは誰がクロか」ハッキリしないところである。話を振ってきたブローカー、不動産業者、仲介業者、購入者、間に入る司法書士さんや弁護士さんであれ、「私は騙された」といってしまえば「加害者ではなく被害者」という称号を手にすることが出来るのである。そうすると、地面師グループはどこからどこまでか全くわからなくなる。確実なのはなりすまし犯だけで、あとは迷宮入りしてしまう可能性もある。しかし、なりすまし犯に支払われる報酬はおそらく数百万円程度。後はどのくらいいて、いくらを誰が手にしたのか把握するのも難しい。

引用:ニュース&事件概要はこちら

買い手(積水ハウス)売り手(地面師)です。流れをみていくと、犯人の巧妙な手口がわかります。

動き 日付
売買契約日 4/24(同日売買予約の仮登記。総額70億円)
決済日 6/1(63億円支払い済)
所有権移転登記申請却下 6/9
所有者から相続人への相続 6/24(7/4登記)
IKUTA所在地変更 6/29
上記仮登記の抹消(原因:解除) 7/25登記
開示(⇒発覚!!) 8/2

引用:こちらより

契約をしたのが4月24日で、決済が行われたのが6月1日。その時点で70億円のうちの63億円が支払われており、リスクが高いように感じる。残りの7億円は登記完了後に支払うと考えられますが、登記前に支払う金額が大きいことから、おそらく主導権を握っていたのは売り手側の地面師だったのではないかと考えられる。どうしても土地がほしい積水ハウスは、多少不利であっても条件を飲まざるをえなかったのだろう。

そういった点も、実に巧妙な手段で63億円もの大金を騙し取った地面師はデキル詐欺師だ。

◆「地面師」って?過去の被害にはアパホテルの名前も…

ちょこちょこ出てくる「地面師」という単語。なんとなく想像で補えてしまうかもしれないが、不動産の売買を仕組み買主からお金を騙し取る詐欺を「地面師」と呼ぶのだ。捜査員の間では通称「ニンベン」だ。「偽」の字のにんべん(亻)からきている。

あまりテレビなどでは報道しないので、馴染みのない単語かもしれないが、地面師詐欺は実に巧妙に、億単位のお金を騙し取るのである。不動産売買の金額は大きく、また専門家なども多く関係しますが、中には弁護士から何から何までが詐欺グループの一味だったということは珍しい話ではない。

事件が発覚したということはお金は騙し取られているし、法務局で所有権移転登記の手続きをしようとすると出来ない。なりすましの厄介なところは、実在する人物であるため本人と全く顔が違っても気づきにくい点なのだ。正式な手続きでつまずき、キツネにつままれた気分とはまさにこのこと。

警察にもそういった被害は頻繁に報告されていて、追いついていない状態だろう。アポホテルも引っかかっているというからまた驚きである。大企業は狙われやすいのでしょう。場合によっては、大がかりな組織的犯行であることもあるだろう。

◆高額な不動産購入は注意

不動産購入、特に資産家の人は注意。

詐欺では一度にできるだけ大きな額を望むため、被害は数億単位に上るが、その中でも今回の63億円は衝撃的でした。

地面師にとっても、この金額は異例でしょう。

主に大企業や資産家がターゲットにされます。不動産などの大きな買い物をするときは気を付けていただきたいものです。

専門家もグルになっているケースも多く、見極め方が難しいです。油断しないようにしてください。

◆今後の動きに注目したい

いずれにせよ、これはまだ未解決事件です。

解決の糸口がつかめているかどうか微妙ですが、早急に対処しなければ迷宮入りになってしまう可能性は十分にあり得ます。

また、今後の動きに注目するとともに、地面師に対する見極め方や防ぐ方法などを浸透させていく必要があると思います。

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