【登記の乱れは国の乱れ】土地売却以前の問題!?2割の土地が所有者不明

衝撃的なニュースが飛び込んできました。なんと、土地の2割は所有者が不明な「ゴーストランド」と化してしまっていることが法務省の調査でわかりました。

それを受けて今回は、どんな問題点が根底にあるのか?所有者のいない土地が増えるとどうなるのか?土地に関する問題点を、真剣に考えてみました。

ではまず、ニュースの概要からご覧ください。

◆土地の2割が所有者不明で、相続登記されない|法務省が発表

長年相続登記がされないなどの理由から、放置されている土地の実態を初めて調査し結果が公表されました。その結果、全国約10万筆※の土地が最後の登記から50年以上経過しており、所有者不明の可能性がある土地は22.4%にものぼった。こうした土地は今後増えると考えられており、政府は公的な事業や道路、公園などで土地を活用する新制度づくりに着手しています。

最後の登記から○○年以上経過している土地
50年以上 70年以上 90年以上
大都市
6.6% 1.1% 0.4%
中小都市・中山間地域
26.6% 12% 7%

神戸市、高知県大豊町など大都市から中山間地まで全国10地域を選びサンプル調査を行った結果が上記の表になります。

最後の登記から50年以上経過した割合は、大都市部が平均6.6%で、中小都市・中山間地域では26.6%となりました。
用途別では、宅地が8%、田・畑22.8%、山林31.2%でした。

最後の登記から70年以上たった割合は9.7%、90年以上は5.6%でした。これらの土地は所有者がすでに死亡していたり、誰も相続登記をしていないまま放置されている可能性が高いものです。

不動産の登記簿に相続の登記がされずに何十年も放置されたままになると、所有者の子や孫の代になって相続権を持つ人が増えていくため、事実上売買などもできない「塩漬け状態」になる可能性が高いといいます。

※土地の単位を表す「筆」とは・・・豆腐を1丁,2丁と数えるような単位のことです。宅地も田畑などの土地の区画も「筆」です。

ニュース本文はここから

◆「登記が乱れると国が乱れている」らしい…

このニュースが発覚したのは最近ですが、世間では「登記が乱れている国は乱れていることが多い」と囁かれていて、日本の情勢が不安視されています。マイナンバー制度も進んでいるのか進んでいないのか不明でグダグダな状態です。一般論として登記などが機能しなくなると国は破綻しているといわれています。ですので、この「登記の乱れは国の乱れ」というのはあながち間違っていないのかもしれません。これほどの土地の所有者がゴースト状態のまま放置されているとわかったことで、今の状態ではさすがにマズイとなり新制度に着手という形を取っています。

また、「空き家問題」も深刻化しているため、土地も家も、「負」動産になりつつあります。この狭い島国の日本で、土地というババのなすりつけ合いをする日が来るなんて、誰か想像したでしょう。

◆考えうる解決策を挙げてみる ※個人の意見です

このニュースを見た人達は口々にこう言いました。

「そもそも制度が終わっている」
「利用価値がないのに相続したらお金ばっかかかるから意味ない」
「そしてこの数字はこれから増加すると思われる」
「使えない土地を国民に押し付けて税金取ろうとしているのがバレバレ」

また、所有権に関する法律でこんなものがあります。

民法162条1項(所有権の取得時効)「20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する」

つまり、所有者のいない土地に20年間以上意思を持って住み続けると、所有権が得られるというものです。この場合はタダでもいらない土地なのかもしれませんが、自分なりの活用方法があれば利用してしまうのも良いかもしれません。

ただ、現状で相続登記されていない土地が2割に上ることを考えると、事実上制度の限界がきていると認めざるを得ないのかもしれません。問題が問題を呼び、複雑に絡み合った上に結論として制度の欠陥であった場合…おそらく一筋縄ではいかないでしょう。しかし問題があるのは事実です。複雑な事情はおいといて、考えつく限りの解決策を挙げてみました。

◇登記をするとメリットのある政策【アメ(飴)】

現時点で、登記しても大きなメリットはありません。相続の場合は特にそうで、むしろマイナスになることが多いでしょう。「タダでもいらない土地」が2割あると考えてください。利用価値のある土地であれば相続で揉め、利用価値のない土地であれば相続登記がされずババ扱いで結局放置、となるとこういった事態になるにも関わらず対策を行っていないことが問題と言わざるを得ません。

登記することでメリットのある政策が打ち出されないことには、変わらないのではないかと思うのです。

◇登記によって、せめてデメリットのない政策【±0】

現在の法律では登記によって損をします。相続時、登記をするだけで登録免許税がかかります。名義の変更だけでお金がかかり、利用価値もなければ当然相続したいと思う人はいないでしょう。

結局法の改正になってしまうのですが、せめて登録だけでデメリットになるようなことはなくした方が良いと思うのです。このままではデメリットのある相続登記 < 登記せずに捨てる であれば、当然メリットもデメリットもない捨てるという形を取るのが当たり前になってきます。

◇登記をしないと罰則になる政策【ムチ(鞭)】

こちらも法の改正になってきますが、上記はプラスか±ゼロかどちらかという政策でした。その逆で、登記を義務づけ破ると強制的に罰則がある法律に改正するというものです。飴がダメならムチで、国民にとってはより厳しくなりますが、「所有者不明の土地」がこれ以上増えないようにするには強行突破するしかないという考えのもと選択肢として入れておきました。

◇中国のように土地の所有権をなくす

次は視点を広くして、国全体を変えるというものです。

みなさんは日本と中国の土地に対する常識が違うのをご存じでしょうか?

中国では、土地を購入することが出来ません。どういうことかというと、庶民が買っているのは所有権ではなく「使用権」です。土地の「所有権」は政府が持っています。そのため、庶民に対して政府が「貸している」という形になります。いわば政府が大家さんなのです。

一方、日本はご存じの通り、政府も国民も同じように土地や家を「所有」することが出来ます。そのため、今回問題となっている「所有者不明の土地問題」は、このシステムが根源だとも言われているのです。

(図1)中国は政府が所有権を握っている

(図2)日本は政府も国民も土地の所有権を持てるので、「利用価値のない相続人のいない土地」は誰も手をつけない

理由は見ての通り。

・国民は「相続登記したとしても固定資産税などがかかるだけでデメリットしかない」
・政府は「国が持っていてもなんの儲けにならないから、国民に押し付けて固定資産税を取って儲けたい」

どちらもお互いに押し付けているだけです。また、利用価値がない土地が多いというのも後押ししているので、ますますこういった「所有者不明の土地」は増えると思われます。

国民にとっても政府にとってもデメリットしかありません。

では、どうしたら良いのでしょうか?
日本も中国のように、国が土地の所有権を持ち、国民に貸し出すという方法も考えようによっては有りなのかもしれません。背景には様々な問題があるのだとは思いますが、一つの解決方法として挙げておきます。

◆まとめ

いかがでしたか?

このニュースをどう受け止めたでしょうか?

日本の制度を批判しているというわけではなく、それ以外の解決方法が浮かびませんでした。登記を義務化!所有権不明の土地は国が所有すれば良いじゃない!といった一方的な見解では解決できないというのも難しいところ…
国民も政府もどちらも「いらない」と言っている利用価値がないとされる土地を互いに押し付けあう、まさに「ババ抜き状態」なため根本的な解決策以外に浮かびませんでした。

私なりに考えた解決策は下記の通りです。

・登記をするとメリットのある政策【アメ(飴)】
・登記によって、せめてデメリットのない政策【±0】
・登記をしないと罰則になる政策【ムチ(鞭)】
・中国のように土地の所有権をなくす

大がかりになることばかりでしたが、この問題は今後も考えなければならないものだと思いました。
どういった形になるかわかりませんが、まずは国民一人ひとりがこのような問題が起きているということを認識するべきでしょう。

私自身、どういった方法があるか今後も考えていきたいと思います。そして、どのような経過になるのか注目していきたいと思います。

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