家にまつわるエトセトラ「庭木の吉凶」と「風水学」

住宅において樹木は家の象徴でもあります。

しかし、樹木の吉凶をわからずに計画性もなく植えるのは住宅にとって良くないです。

なぜよくないのでしょう?

それには様々な理由があるのです。昔から言い伝えられてきたことは、意外と真実を物語っていることもあります。全てを鵜のみにするのも良くないですが、少しだけでも知識を持っていた方が転ばぬ先の知恵となります。

「風水や方位の吉凶など、そんな迷信は信じない。」

「すべてがそろった現代でバカバカしい。」

「非科学的すぎる」

そう言われる方も多い現代社会ですが、長年言い伝えられてきたことには、一理も二理もありますので、知識として知っておいてくださいね。

◆風水の基本~意味や由来とは?~

風水というものは、方位学によって成り立っています。
北東が鬼門で、南西が裏鬼門というのは、家相をかじっている人なら常識です。

ではなぜ、鬼門や裏鬼門が忌み嫌われるのでしょうか?それを知っている人は少ないでしょう。

風水というのは昔からの暮らしの知恵です。昔は冷蔵庫や水洗トイレなどがないので、食べ物は腐りやすく、トイレは不潔で伝染病などを招く場所でした。

北東の鬼門は、一年の中で一番日の当たらない方角です。鬼門に玄関があると、薄暗い陰気な感じを受けます。鬼門に台所があると、主婦は冷え冷えして、婦人科疾患にかかりやすくなります。もしくはトイレなど不浄なものがあると、浄化されないままいつまでも不浄のままです。そこは、「陰中の陰」の場所で、陰がこもりやすく不潔になりやすい方位なのです。

一方、南西の裏鬼門は、どうでしょう。
西日(にしび)で、常に高温になりやすく食べ物が腐りやすくなります。井戸などあると、井戸水が高温で腐敗しやすくなります。
そういう意味で、そこに台所があると、食中毒など伝染病にもなりやすいのです。

また反対に、伝染病にかかる人が出たり、陰の気が多い住人が住んでいたり、次々死人が出る家に、鬼門・裏鬼門を侵した家が多いことからも、鬼門・裏鬼門が恐れられてきたともいえるのでしょう。

昔の人は長年の経験からの知恵でその方位を忌み嫌うようになりました。

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◆『方位学』は中国の長い歴史からきている

方位にそれぞれ象徴となる意味が隠されています。

それは中国の古典からきています。

例えば、南の持つ意味は、丙(ひのえ)・丁(ひのと)です。易占ではいえば離。十二支で言えば、牛。五行で言えば、火です。季節は6月。時間は11時~13時(牛の刻)。色は赤と紫。身体では心臓を現します。

そのように、全ての方位には意味が付加されています。その象意は、勝手に付けているのではなく、全ての中国古典由来の陰陽五行、東洋医学の鍼灸から漢方・易占や気学まですべて共通の概念で繋がっています。

◆樹木の吉凶

樹木には陽木陰木があります。つまり陽気な木と陰気な木と思っていただければわかりやすいです。しかし、ここで勘違いしてもらいたくないのは、陽が良くて、陰が悪いわけではありません。陰陽こもごもどちらが良くて、どちらが悪いという概念はありません。要は、バランスの問題です。中庸の徳を重んじる思想なので、バランスにかけるとよくないですよということです。

そして、樹木の吉凶も、方位によって様々なのです。

方位には、固定の象意があり、それに反するものは宇宙の法則に反します。自然の摂理に反し不都合が生まれますよ・・・という感覚です。だから、もともと悪い樹木、良い樹木というのは存在しません。

◇陽木(松竹梅、桜、桃、牡丹など)

陽の気を運んでくる樹木としては次のようなものがあります。

松、竹、梅、スギ、ツツジ、さつき、桜、桃、柿、ナツメ、木犀、ねむの木、クチナシ、紫陽花(あじさい)、菊、牡丹などです。

この中でも陽が強すぎるものなどあり、強すぎるが故に一般家庭には向かない樹木もあります。

桜などは、一般家庭に植えると、大きくなりすぎて、最終的には伐採しなければいけない大きさになりますので注意が必要です。紫陽花などは神社仏閣には向きますが、一般の家には陽が強すぎることになります。

◇陰木(梨、葡萄、ザクロ、ソテツなど)

陰の気を放つ樹木は次のようなものがあります。

ボケ・梨・葡萄、蘇鉄(そてつ)、シュロ、百日紅、芭蕉、ザクロ、モミの木、ムクゲ、楠、榎などがあります。

一般家庭の庭に植える樹木はできるだけ陽木を選んだ方が無難です。陰の気が強すぎると暗く沈んだ雰囲気の家庭になってしまいます。やはり、子どもが育つ庭は明るく保ちたいものです。

◇庭木の言い伝え

樹木にまつわる長年の知恵として様々な言い伝えがあります。

その一部をここで紹介しましょう。

南天

南天が家のひさしより高くなると金が集まる

家の前に竹藪を作ると、家が貧乏になる

イチジク

家の前にイチジクを植えると病人が絶えない

芭蕉

芭蕉の花さきて、その家滅ぶ

牡丹

庭に牡丹を植えると、その家は繁栄する

柿の木が勢いよく茂る年は、家運が繁栄する

樹木で囲った家

四方樹木が囲った家は、後家相になる

家の中央に樹木

家の真ん中に樹木がある家は必ず崩壊する

椿・クコ

椿・クコの木を植えると兄弟が出世する

柳を南東に植えると色情者が出る

北方向の大木

北の大木はよき家柄の象徴。大樹が枯れると家運が衰退する

南西の大木

大木が南西にあり家に覆いかぶさると病人が絶えず、養子家系になる。

蘇鉄(そてつ)

蘇鉄は寺院には向くが一般家庭ではお金を失う(鉄の字が、金を失うとかく)

芭蕉・シュロ

芭蕉・シュロの木は禍を招く。寺院には良い

庭石

石を愛でている人が、やたらと石を庭に持ち込むことがありますね。しかし、石は、陰の気が強すぎて、陰気な庭になってしまいます。また、石は不浄霊や動物霊などを宿しやすいと言われ、むやみやたらに石を持ち込まない方が無難です。

大石は、その半ば以上を土に埋めて挑むべし

といわれるように、大きな石は凶相になりやすくなります。庭石は、できるだけないほうがいいでしょう。

家の庭を陽気に保つためには、陽の気のバランスを考えなければいけません。かといって陽が強すぎても陰に転じることもありますけどね。陰陽反転といいます。

雑草が繁茂してとんでもなく視界が悪くなった場合、陽気を通り越して陰気な感じがするでしょう。そういうことです。

池は一般家庭では作らない方がいいです。池の水はしっかり循環させて腐敗しないようにしなければいけませんし、狭い日本の住宅事情からしたら水の気が家の腐敗につながりやすいからです。管理が行き届いている広い庭の豪邸以外、出来れば避けた方がいいのが池です。ほとんどの場合、凶相に変化します。方位によっては、水の気を嫌う方位などがあり、衰退の原因になります。

空き家に池があった場合、ギョッとするほど陰気が漂っていることがあります。

荒れ果てた家屋に荒れ果てた庭、おまけに淀んだ池があったら・・まるで幽霊屋敷です。

◆まとめ│日本の風土に合った風水、ご参考までに

日本の家屋は、湿気との戦いです。湿気が家を覆うと必ず腐ります。乾燥を常とし、湿気がかからない工夫が建物の寿命を延ばします。日本はただでさえ高温多湿のジメジメした気候なので、わざわざ湿気の多い環境を作らなくてもいいはずですね。

日本人に多いリュウマチなどは、湿気がこもる環境が大きく作用しています

「風の流れを考慮して、家屋に風を通して通気性をよくする。」

「家屋にかかる水を、できるだけ排し、水の流れ出ていく状況を考え、乾燥を維持する。」

それが風と水の原理、つまり風水なのです。
風水学は、風と水の流れを自然の原理にのっとった形で考察する学問なのです。

庭木も、家屋の水と風の関係に大いに関わっています。家を囲みながら雨や風から家屋を守ったり、または覆いかぶさって風と水の流れを邪魔したり、家屋と一体となって作用し続けているのです。

庭を見れば人がわかる

といわれるように、庭はそこに住む人の象徴です。

そこの住人が病気になって、外からわかる変化はまず庭です。

いつもきれいな庭が荒れてきていることに気が付きます。どうしたのかな?と思ったら、後から長らく入院していたということをよく聞きます。

空き家になった場合、その衰退状況は、庭の状況でひと目見たらわかります。庭木は、そこの住人だった人のバロメーターでもあるのです。主がいなくても、庭木はそこに存在し、その家を象徴し続けてくれています。

それを象徴するかのような菅原道真公のこんな歌があります。

「東風吹かば 匂いおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」菅原道真公 御歌

春の東風が吹いたら、また美しい花を咲かせておくれ、梅の花よ。ご主人様がいなくても、春に花咲くのを忘れてくれるなよ。

庭はまさにご主人様を象徴しているのだと感じますね。庭づくりに風水をぜひ役立ててみてください。

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