不動産売却にかかる「費用」を徹底的に”節約”する方法

一軒家やマンションなどの不動産や土地を売る際いは、さまざまなコストがかかります。費用には「避けられないコスト」と「節約できるコスト」が存在します。

避けられないコストのことを計算にいれておかなくては、予定より費用がかかってしまい手元に残るお金が変わってしまい予定が狂ってしまうことも…
不動産の売却にかかる経費を知り、無駄な出費は節約する方法を知っておきましょう。

◆不動産売却にかかる「費用」

不動産の売却にかかる諸費用の目安となる項目は下記の(1)~(7)ですが、必ずかかるのは(1)仲介手数料と(2)印紙税のみです。それ以外の経費は状況や売却の仕方によって変わってきます。これらの諸費用を売却価格から差し引いた額が、実際に手元に残るお金になります。

【不動産売却でかかる主な費用】

(1)仲介手数料
(2)印紙税
(3)抵当権抹消登記費用(やローン完済費用)
(4)測量費用
(5)ハウスクリーニング・補修・リフォーム費用
(6)インスペクション費用、瑕疵保険の検査料・保険料
(7)その他(売却前後にかかる諸費用・税金など)

それでは、各費用について詳しく見ていきましょう。

(1)仲介手数料 → 節約可

不動産売買の仲介に入ることで不動産屋は利益を得ています。仲介手数料は「成功報酬」なので、売買契約が成立しないと発生しません。査定サイトの登録料や広告費・掲載費から、購入希望者の内見に付き添う現地案内にかかる費用なども、基本的な販促費用はすべてここに含まれます。売主の依頼で行った広告は実費請求されるようになります。

仲介手数料については、売却価格によって下記のように上限額が法律で定められています。

・売却価格200万円以下の場合「売却価格×5%」

・売却価格200万円超~400万円の場合「売却価格×4%+2万円」

・売却価格400万円超の場合「売却価格×3%+6万円+消費税」

不動産売却の価格別にかかる仲介手数料の簡単な計算方法&注意点2点

例えば、3000万円で売買契約が成立すると、3000万円×3%+6万円+消費税=約103万円が上限額となります。

上限額なので、これ以下であればいくらでも良いのですが、ほとんどの不動産会社はこの枠いっぱいの仲介手数料を請求してきます。値引き交渉をする場合は媒介契約を結ぶ前に行いましょう。また、強引に値引きに応じさせたとしても他の面で利益を上げようと「両手取引」をされることもあるので、十分注意してください。

不正行為なの!?不動産売却の際は『両手仲介』に注意

簡単にいうと、「両手取引」とは、売主と買主を自社で見つけて双方から仲介手数料を貰うものです。それだけでは違法ではないのですが、売主の承諾なく他の不動産会社からの問い合わせを無視して独占するなど、売却が長期化してしまったり、高く売れるはずが狭い範囲で取引を行ったことによって安く売られてしまう可能性が出てきます。

値下げ交渉をすることによって、両手取引しなかったとしても、利益の少ない客に力を入れてくれないのは目に見えています。あからさまにやる気がなくなり結果的に売却価格を下げてしまうことも考えられます。仲介手数料から販促費は捻出されるため、コストが抑えられるということは販促費に充てられる費用もカットされてしまうということに繋がります。

トータルバランスでより高値売却できる手段を取るようにしてくださいね。

(2)印紙税 → 節約不可

◆不動産譲渡の契約書にかかる主な印紙税額◆
売却価格(契約書に記載の契約金額) 印紙税額
1000万円超~5000万円以下 1万円
5000万円超~1億円以下 3万円
1億円超~5億円以下 6万円

※上記金額は2020年3月31日まで

売買契約に張り付ける印紙代は、契約書の記載金額によって収入印紙の金額が決まっています。そのため、節約する余地はありません。

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(3)抵当権抹消登記費用(やローン完済費用) → 節約可

不動産や土地に抵当権が付いている場合は、抵当権の抹消費用として「不動産の個数×1000円」の登録免許税がかかります。例えば、一軒家を売却する場合は、不動産の個数が土地と建物の2つとなるので合計2000円です。

法務局に自ら申請するか、リーズナブルな司法書士に依頼することで費用を抑えることができます。参考程度に目安費用を記載しておくとすれば、抵当権の抹消にかかわる司法書士の報酬は5000円~2万円程度です。

ただし、住宅ローンを完済していて抵当権がそのままになっているケースのみです。住宅ローンに残債がある場合は、買い主に融資する銀行手配の司法書士に委託するのが一般的です。

法的には残債があったとしても自分で手続きをしたり司法書士に依頼することは出来ますが、現実的には銀行がそういったリスクを取ることは少ないと思われます。ここでいうリスクは、売主と司法書士がグルになって騙されてしまうことです。

また、残債を一括返済する場合は繰り上げ返済扱いとなるため、契約内容によっては繰り上げ返済手数料がかかることもあるので注意してください。

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(4)測量費用

測量は、物件の売却において隣接する土地との境界をハッキリするために行われます。測量は専門業者が行い、仮の境界を定めた後で土地の権利者が立ち会って確認し、合意を得てから「測量確認書」という書類を交わし「確定測量図」が完成します。

この「確定測量図」が素手に作成されている場合は改めて測量する必要はありませんが、同じ測量図であっても種類が違うものがあるので注意です。

・法務局で取得可能な「地積測量図」
・隣地の所有者の境界確認のない「現状測量図」

これらは、売買契約では使用できません。
(「現状測量図」の場合は、隣地の所有者同士が立ち会い境界確認をしていて、売主・買主双方の同意があった場合は認められる)

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確定測量図が必ず要るわけではありませんが、ご近所トラブルを避けるため近年は必要不可欠になりつつあります。特に複雑な地形や私道がある場合など、境界を明らかにし通行や掘削(水道管・下水管などを取り換える時に道路を掘ることを認める)の承諾書などを取ることはしておきたいところです。

測量の手配は不動産会社が行ってくれます。ただし、測量にかかる費用は仲介手数料に含まれておらず、売主が別途で負担しなくてはなりません。測量費は土地の形状や面積など状況によって異なりますが、一般的な一戸建て住宅であれば30~50万円が相場です。市有地や国有地に接していて官民の立ち合いが必要になると60~150万円ほどまで上がります。

支払いは売却価格から差し引きでする場合が多いですが、そうではない不動産会社もあるので手元にすぐに用意できる資金がなければ、相談しなくてはなりません。

確定測量図がないと、売却価格を大幅に引き下げなければならない可能性が高いので、多少コストはかかったとしても測量費は支払っておいたほうが良いです。しかし、測量を行ってみて隣地の合意を得られない場合も出てきます。そういったときは「筆界特定制度(筆界=境界)」というのがあり、法務局で測量の資料を提出し筆界特定登記官に境界を特定してもらうこともできます。ただし、特定まで平均約11ヵ月かかってしまうため、注意が必要です。特定まで時間がかかってしまうというネックはあるものの、測量自体がムダになってしまうことはないため時間に余裕があるときは選択肢に入れておくと良いでしょう。

(5)ハウスクリーニング・補修・リフォーム費用

補修費用の目安(本体交換の場合)
キッチン 100万~300万円
トイレ 20万~30万円
洗面所 15万~30万円
給湯器 30万~40万円
浴室 100万~200万円
クロス0.15万~0.25万円/㎡、フローリング1.5万円/㎡、畳1.5万~3万円/畳

好印象物件となるため、部屋全体や部分的にハウスクリニックをする人も多いです。お金をかけて補修するとしたら、トイレや浴室・キッチンなどの水回りや、部屋全体の印象を変える壁クロスが良いでしょう。見た目の印象が変わり部屋全体が変わります。クリーニング程度であれば、1ヵ所につき5000~2万円程度が相場となっています。

汚れや痛みが激しいとリフォームなども視野に入れて考えなくてはならなくなりますが、売却価格が上がる見込みがある場合のみにしておくのが賢明だと思います。上限は100万円くらいにとどめておいて、安価でもより効果が見込める箇所に絞るようにしましょう。もちろんリフォームをする際は、独断で勝手にするのではなく、不動産会社の担当者とよく相談した上で行いましょう。

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(6)インスペクション、瑕疵保険の検査料・保険料、ホームステージング

これらはすべて任意のもので、売主の判断にゆだねられます。ハウスクリーニングや補修費と同じように、物件の価値を上げるための費用なので必須ではありません。

インスペクションとは、「検査」を意味し住宅の専門家に建物の状態を診断してもらうことです。住宅の専門家であるインスペクターによる診断は信頼度があり、家を買う際の安心材料になります。例えば、「シロアリの被害の有無」や「排水管に不具合はないか」などを検査してもらいます。目でみてわかる診断であれば診断費用は5~10万円ほどです。

インスペクションの結果は報告書としてまとめられ、購入希望者の判断材料として使えます。マイナスな情報でも程度を把握できるため、逆に安心して購入できると考えている人も多いです。買主が不安に思うのは、マイナス情報ではなく「問題があるかわからない状態」なのです。

次に、既存住宅売買瑕疵保険とは、中古物件を引き渡した後でも、構造的な不具合が生じた場合に1,000万円まで補修費用として最長5年間保証してくれるものです。加入するためには、検査料と保険料がかかりますが、ほとんどの中古物件は瑕疵保険に入っていないことが多いため、加入しているとプラス評価になります。

瑕疵保険に入るためには、インスペクションとは別に瑕疵保険専門の検査を受けなければならず、それに合格する必要があります。検査費用は125㎡未満の木造一戸建ての場合で2万5000円ほどです。インスペクションとまとめて行える検査機関であれば、合わせて10万円以内に収まります。加えて、保険料は4万~8万円ほどで、支払いは加入時の1度のみです。

ホームステージング」とは、日本ではあまり主流ではありませんがアメリカでは常識化しているもので、家を売却する際モデルルームのようにコーディネートしてよりおしゃれな生活をイメージさせるものです。これによって購入希望者に強く印象づけライバルと差をつけることができます。生活感あふれる家よりも、高値売却が期待できます。アメリカ発祥のホームステージングは、現地ではホームステージングしないと家が売れないといわれるほど当たり前のものになっているようです。

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(7)その他(売却前後にかかる諸費用・税金など)

その他の売却の前後でかかる費用は状況次第です。

例えば、解体して更地にして売却する場合は「解体費」がかかります。しかし余程の事情がない限りそのまま売却することをおススメします。更地にすると土地扱いになるので、住宅用地の特例が受けれなくなり、翌年から固定資産税や都市計画税が高くなるので、売れにくくもなるのです。誰も望まない更地は負担しかありません。なので、解体して売りに出すのは無計画に行わず、買主が「更地渡し」を望む場合のみのが良さそうです。「更地渡し」にすると、特例をつけ引き渡し時までに更地にする条件での売買契約になります。

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ちなみに、解体する際の費用の目安としては、地方よりも都会のほうが高くなり、接している道路の広さや作業のしやすさなどによって変わってきます。東京都内の一般的な例ですと、坪単価は木造住宅で3~4万円、鉄骨造で4~5万円、RC造5~6万円程度が相場です。地方はこれより1万円ほど安いとお考えください。

また、不動産業者を経由して依頼した場合はバックマージンを取られていることもあるので、安くするのであれば自分で複数の業者の相見積もりを行い、安いところを探したほうが良いです。

次に、空き家などを整理するには廃棄処分費がかかります。これらは専門業者に依頼することで、家具・家電などを処分するときと同じように処分費用がかかります。処分費用はエレベーターの有無や処分するゴミの量によって大きく変わってきます。(おおよその目安は下記の表を参考にしてください)

最後に、どこかへ移り住む場合の「引っ越し費用」も忘れてはなりません。荷物の量や時期によっても料金が変わります。引っ越しシーズンの2~4月は繁忙期なので料金が高くなることが多く、引っ越し業者が不用品の引き取りを行うなど力を入れていることも多いです。不用品がかなり出ると予想される場合は、あらかじめ相見積もりを行い安いところを探すのが賢明です。

不動産売却後の『引っ越し手続き』基本事項

場合によってはかかるものの相場まとめ
◆解体費(例:東京都内、地方は-1万円が目安)
坪単価 解体費
木造住宅 3~4万円
鉄骨造 4~5万円
RC造 5~6万円
◆廃棄処分費
部屋の広さ 処分費用
1K・1R 3万円~
1DK 3万5千円~
1LDK・2DK 6万円~
2LDK・3DK 9万円~
3LDK・4DK 15万円~
◆引っ越し費用
通常期・単身荷物小の場合 引っ越し費用
~200km未満 (同一地方程度) 4万円前後
~500km未満 (近隣地方程度) 5万円前後
500km以上 (遠距離地方程度) 6万円前後

これ以外のほかには「所得税」や「住民税」などがありますが、税金は所有期間などによって変わってくるため、他の記事でご紹介します。

不動産売却にかかる「税金」を徹底解剖

◆”節約”できる費用まとめ│削れる費用は削り、売却益は最大に!

いかがでしたか?

節約できる費用とどうしてもかかってしまう費用を把握しておくことで、「売却益」の最大化を目指しましょう!

工夫次第で抑えられる費用は、主に

・(1)「仲介手数料」
・(3)「抵当権抹消登記費用」
・(6)「インスペクション費用」と「瑕疵保険の検査費用」
・(7)「引っ越し費用」

など、業者との相見積もりでよりリーズナブルな業者に依頼したり、自分でできることをすることで節約に繋がります。

節約ではなく、ライバルと差をつけるには

・(4)「測量費」
・(5)「ハウスクリーニング・補修費」
・(6)「インスペクション費用、瑕疵保険の検査料・保険料」

などで売却する不動産の価値を高める方法もあります。

削れる費用は削り、かけるべき費用を把握することで、売却益の最大化を目指してください。

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