デメリットもあるよ!「任意売却」とは?しっかり理解

「任意売却」この単語を聞いたことがあるでしょうか。
任意売却を知らなかったという方も、実際に検討されている方も、そのメリットやデメリット・やり方などを知っておいて損はないでしょう。
今回紹介するのは、「任意売却」についてです。

一言でいうと任意売却とは、住宅ローンが返せなくなったときに検討する制度のことで、住宅ローンの残っている物件を売ることによって、売主は住宅ローンを一括返済でき、買主は物件が手に入るのでWin-Winというものです。
しかし、もちろんメリットだけではありません。任意売却する方法や交渉などの手間、また必ず成功するとも限りません。
そういったデメリットも含めて理解していきましょう。

なぜ任意売却が注目されるのか

やっとの思いで手にしたマイホーム。大切な自宅を守りながら住宅ローン返済を目指す方法の一つに任意売却があります。

住宅ローンが返せなくなったときシンプルなのは、マイホームを競売で売却し、そのお金で返済することです。
ただ、不動産の競売にはさまざまなデメリットがあります。
市場価格より査定価格が大幅に安いため返済金額が少なくなること、残った債務や退去日の交渉ができないことなど、大きな制限があります。

しかし、任意売却を選択すれば、そのままマイホームに住み続けながら完済を目指せたり、買い戻しの可能性も生まれます。
なにより、任意売却のプロに依頼すると、面倒な債権者との交渉や引越の手続きまで仲介者がやってくれるのです。

ただ、任意売却でマイホームを守るのにはいくつか条件も必要です。任意売却のメリットとデメリット、手続きの流れを見ていきましょう。

任意売却のメリット

債権者との交渉で競売より有利に借金の返済ができます。

計画的な返済が可能

不動産の査定価格をもとに、売却しても残ってしまう借金をどう返済するか、債権者と話し合いができます。収入に応じて毎月の返済額を交渉すれば、無理なく完済を目指せます。

売却額が高い

裁判所が行う競売で不動産を売却すると市場価格の5割から7割程度になってしまいます。任意売却なら不動産会社が市場価格により近い査定をしてくれます。一般に市場価格の8割以上で売却できます。

近所に知られる恐れがない

任意売却は、不動産会社が市場価格に合わせた査定をもとに売物件として宣伝します。多くは非公開の不動産物件で買い主を探してくれるので、近所や友人知人にバレる心配はほとんどありません。競売の不動産のように、物件情報が裁判所や新聞、WEBに掲載されることもなくプライバシーが守られます。

引っ越しが楽になる

債権者との交渉次第で引っ越しを有利に進めることができます。たとえば、引っ越し費用や当面の生活費を出しもらえたり、引っ越し時期をこちらの都合に合わせてもらえる場合があります。

そのまま住み続けられる可能性がある

リースバックという方法を使えば、任意売却をしても家に住み続けること可能性が生まれます。マイホームを手放したくない場合にとても有効です。最大のポイントは、売却した自宅を債権者から賃貸物件として借りること。つまり毎月家賃を支払いながら、以前と同じように自宅で生活できるのです。

任意売却のデメリット

任意売却にも注意すべき点があります。認められないケースやデメリットを把握しましょう。

債権者によって認められないケース

そもそもマイホームの任意売却を認めていない金融機関が存在します。交渉可能な金融機関によっても、それまでの返済姿勢に問題があれば、債権者との交渉すら入れないケースもあります。任意売却は金融機関にとっても手間や時間が掛かる処理方法です。すぐに競売で処分してしまいたいと思われない誠意ある態度を貫くことが大切です。

保証人によって認められないケース

任意売却を進めるためには融資先の金融機関とともに保証人や連帯保証人の同意が必要です。任意売却より競売を希望されたり、保証人が行方不明などで見つからない場合は手続きが進められません。

交渉に時間がかかる

任意売却は債権者との交渉によって手続きを進めることができる解決方法です。したがって、交渉が難航したり、債権者が多い場合は話し合いや手続きに思わぬ時間が掛かることがあります。淡々と進められる裁判所の競売と違って、最終的に任意売却ができないリスクもあります。

任意売却業者の手腕に左右される

複雑な交渉や手続きが必要な任意売却。自分で債権者との交渉を行うケースはまれです。ほとんどは専門の業者に依頼します。ただ、業者を選びを誤るとうまくいくはずの任意売却そのものが失敗する可能性もあります。派手な宣伝や価格に惑わされず、インターネットなどで実績や口コミをチェックしましょう。


ここで注意!!デメリットと言われているけど・・・実はよく誤解されがちなところがあります。デメリットというのは「短所と認めている部分」ですが、以下紹介するのは事実とは異なり、「デメリット」ではありません。

事実とは異なる!誤解されている6点

借金になる!? ⇒ No 

任意売却すると借金が残ったり配偶者や子供などの家族に迷惑がかかるのではないかと誤解される方がいますが、そうとは言い切れません。
また、そうなってしまったら処理する方法がありますので、一概にデメリットとは言えないでしょう。
実際売却できた金額が高い場合も多く、住宅ローンや債務を全額払えることもあります。

すぐに引っ越しが必要!? ⇒ No 

メリットでも紹介した通り、むしろ引っ越しが必要ない場合もあります。一つとして、紹介した賃貸契約をして住み続ける方法です。通常では売却して引っ越すのが一般的ですが、任意売却の種類によっては引っ越さずに済むのです。

保証人に請求がいく!? ⇒ No    

不動産の売却をしても尚、ローンが残ってしまったら保証人に迷惑がかかっていまいます。しかし、それは任意売却をしたことではなく、住宅ローンを延滞してしまったためによる被害です。
任意売却によって出来た債務ではありません。競売でも支払えなかった住宅ローンは支払い義務がありますが、一般的には任意売却は高い値段になることが予想されるので、そのリスクを少しでも減らすことができるのではないでしょうか。

ブラックリストに載って自己破産する!? ⇒ No   

これはどちらも誤解です。いきつく結末を想定したためだと思われますが、任意売却によって起こったことではなく、住宅ローンの返済が出来なくなったためによるものです。
自己破産せずに解決する方法がありますので、任意売却=自己破産のようなイメージではないという点に注意しましょう。
誤解が誤解を生んだ形になっています。
ブラックリスト(=信用情報)に載る行動というのは、住宅ローンの返済が遅れたり、代位弁済が行われたときなどです。
それは任意売却によるものではありません。むしろ任意売却によって住宅ローンを全額返済することができたらブラックリストに載らずに済むということになります。

会社を辞めさせられる!? ⇒ No 

上記のブラックリストに載って自己破産というルートからきていると思いますが、信用情報は金融機関以外が閲覧することができません。
そして、「任意売却した」という情報も一般には公開されません。ただし、破産したとしたら利用できなくなる資格はあります。一部の業種(弁護士、税理士、宅地建物業者、生命保険募集人等)です。しかし、こちらも任意売却によって資格が利用できなくなることはありません。よって、会社をクビになったり職を追われるようなことは、任意売却によってなることはありません。

任意売却の進め方

専門業者に依頼すると、以下のような流れで任意売却が進みます。

(1)任意売却専門業者を選ぶ

任意売却を扱っている不動産会社で相談をします。基本的に相談無料の業者がほとんどです。

(2)状況確認と不動産査定

住宅ローンや自宅の状況、売却する条件を伝えます。業は不動産を査定するので、その価格をもとに検討します。

不動産査定の方法は大体こんな感じ⇒不動産相場はどのように調べる?調べ方の徹底解説!

(3)専任媒介契約を結ぶ

売却の意思が固まったら、選んだ業者に債権者との交渉を任せる契約を結びます。これを専任媒介契約といいます。

「専任媒介契約とは?」詳しい内容はこちら⇒【売却の際の不動産選び】3つの媒介契約のメリット・デメリット

(4)債権者と交渉する

債権者との交渉はすべて専門業者が行います。面倒な半し合いや手続きは必要ありません。

(5)販売スタートから購入者決定まで

不動産の査定価格をもとに売却物件としてマイホームを販売します。購入希望者の必要に応じて、自宅を見学してもらう場合があります。

(6)債権者の同意をもらう

購入者が決まれば、住宅ローンの債権者や不動産の抵当権者に任意売却の同意を取り付けます。分配額や諸経費を含めた返済計画書を作成します。

(7)売買契約を結ぶ

購入希望者と不動産の売買契約を結びます。引っ越し時期の交渉次第で1ヶ月程度退去時期の余裕をもらえます。

(8)不動産の引き渡し

購入者に不動産を引き渡します。抵当権や差し押さえを抹消して、代金のやりとりをします。売却代金はそのまま債権者への返済に充てられます。登記の変更など手続きを済ませます。

まとめ

このように不動産売約は注意点もあるもののメリットの大きい返済方法です。
ただ、交渉から手続きまでかなり時間が掛かることがあります。
任意売却を決めたら、早めに専門業者に相談することが大切です。

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