人に貸している不動産を売ることはできるのか?

不動産を売却するときには、ときには人に貸している不動産を売却することもあります。ただ、このような不動産を売却するときには、居住用不動産の売却時とは根本的に異なります。

まずは、居住用不動産とどう異なるかを理解することが大切です。その上で、どうのようにすれば売却しやすいのかを把握しましょう。今回は、そんな賃貸中不動産売却について解説します。

1.人に貸している不動産の売却

結論からいうと、賃貸中の不動産を売却することは可能です。ただし、冒頭でもいったように「賃貸中」不動産なので居住不動産の売却とは性質が異なります。具体的には、投資用不動産として扱われるため、「オーナーチェンジ」という形になります。

たとえば、月12万円の家賃で貸しているマンションを売却するとします。通常のマンション売却であれば、内覧者(物件見学者)を募集して部屋を見せて、価格交渉などを行い売買契約を締結するという流れです。

ただ、貸している状態の不動産は投資用物件のため、居住者はそのままで「持ち主だけ変わる」という状態になります。

オーナーチェンジのマンションを上手に売却するコツは?

2.メリット・デメリットと注意点

このように、人に貸している不動産は、通常の不動産売却と意味合いが根本的に異なります。そのため、通常の不動産売却とは違ったメリット・デメリット、および注意点があります。

2-1人に貸している不動産売却のメリット

賃貸中不動産の売却のメリットは以下の通りです。

投資用不動産の価値が高ければ高く売れる
売却活動が楽

たとえば、今まで空室率も低く、現在の家賃滞納などがなく、さらに利回りが高いなどの資産価値が高い不動産であれば高く売れる可能性があります。ときには、「居住用不動産」としての価値は高くないけれども、「投資用不動産」としての価値が高いということもあります。

また、次項のデメリットでもありますが、売却活動自体は楽です。なぜなら、内覧者をいちいち部屋に招くことがないので、掃除やアポ調整の手間がないからです。

2-2人に貸している不動産売却のデメリット

人に貸している不動産の売却は以下のようなデメリットがあります。

購入検討者が内覧できない
必要書類が多い
ターゲットが少ない

先ほど「売却活動が楽」というメリットでも挙げましたが、賃貸中不動産の売却は購入検討者が内覧できないという大きなデメリットがあります。賃借人が居住中ですので、基本的には室内を見せることができないのです。

強いていえば、賃借人に許可をとって室内を見ることはありますが、基本賃借人も立ち会いますので許可してくれることは稀です。そのため、購入検討者は室内を確認せずに購入するので、「リスク」を加味して購入せざるを得ません。

リスクとは、たとえば「室内が劣化している」や「賃借人のモラルが低い」などのリスクです。このような状態で買わざるを得ないので、購入金額が下がる可能性があるというのが、賃貸中不動産売却の最も大きなデメリットです。

また、居住用不動産に比べて売却時の必要書類が多くなります。具体的には「レントロール」と呼ばれる資料です。レントロールは、日本語で「賃借条件一覧表」と呼ばれ、以下のような情報が記載されている資料です。

・家賃や管理費など費用に関すること
・賃借人のプロフィールなど
・過去の滞納履歴など

購入検討者は部屋を見られない分、レントロールで「この物件が儲かる」かの判断をするというワケです。ただ、このような投資物件を購入するターゲットは居住用不動産を購入するターゲットよりも少ないです。その点も、賃貸中不動産売却のデメリットになります。

2-3注意点

このように、賃貸中不動産売却は通常の不動産売却とは異なるため、以下の点に注意しましょう。

・投資用不動産の売買を扱っている不動産会社へ依頼
・レントロールはしっかり作成

まず、居住用不動産ではなく投資用不動産になるため、投資用不動産の仲介実績が豊富な不動産会社を選ぶ必要があります。そのような不動産会社は居住用不動産を仲介する不動産会社よりも少ないため、優良不動産会社を見つける難易度は上がります。必ず複数社比較しましょう。

また、レントロールはしっかりと作成しましょう。なぜなら、先ほどいったように、基本的に購入検討者はそのレントロールだけを見て購入するかの判断をするからです。そのため、賃借人のプロフィールは細かく記載し、過去の延滞履歴や空室履歴なども漏らさずに記載しましょう。

特に、賃借人の「年収」「勤務先」などのプロフィールを購入検討者は重視します。要は、自分が購入した後に、家賃を滞納するリスクがあるかどうかを判断する材料が欲しいのです。

不動産はこれからタダで住める時代になる!?売却は計画的に

3.まとめ

このように、賃貸中不動産の売却時には、通常の不動産売却時とは異なるメリット・デメリット、および注意点があります。賃貸中不動産の売却は可能ではありますが、居住用不動産よりは売りにくくなるという点は把握しておきましょう。

賃貸中の不動産を売却するメリット

投資用不動産の価値が高ければ高く売れる
売却活動が楽

人に貸している不動産売却のデメリット

購入検討者が内覧できない
必要書類が多い(レントロールなど)
ターゲットが少ない

仮に、今後賃貸に出すことを考えているのであれば、売りやすいように賃借人のジャッジは慎重に行うべきです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする