不動産関連の資格と聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょうか?宅地建物取引主任者、司法書士、不動産鑑定士などがまず思い浮かぶと思います。ただ、不動産投資を行う場合には、それに加えて様々な有資格者の助言があった方が良いとされています。その中の1つ、土地家屋調査士について、この記事でご紹介していきたいと思います!
1.土地家屋調査士をざっくり言うと。
土地家屋調査士はれっきとした国家資格で、認定団体は法務省となっている身元のしっかりした資格です。職務上請求書の使用が認められている数少ない資格の1つで、業務独占資格でもあります。
業務内容としては、依頼を受けて、土地の所在や形状、その土地の利用状況などの現況を調べ上げます。そして、不動産として登記するための書類や図面を作成して、申請するまでの一連の手続きを行います。
土地家屋調査士の国家試験は、午前中が主に測量に関する問題で、座標の計測方法や測量方法などが問われます。午後は、過去の判例などの法律的な問題や、登記申請に関する問題が出題されます。分筆や地目変更などについての問題もあり、このことからも不動産のプロなんだなということが分かります。ちなみに合格率は7%で、かなり難しいとされています。
業務内容その1:境界線の測定
土地の売買をしようとした場合に、土地の境界線が明白でなかったとしたらどうでしょうか?境目が不明なまま売りに出したとしたら、あなたの所有する土地に隣接する土地の所有者と、トラブルが起こることは容易に想像できますね。土地は動かすことができないため、一度いさかいを起こすと、長くその問題と付き合っていかざるを得えなくなります。もしその土地がこれから家を建てようとしている土地であったり、相続させる可能性のある土地だったとしたら。家族にもその影響が及んでしまいます。
こういったトラブルを解決するために、法律上の正しい境界線を測定し、決定するのが土地家屋調査士の重要な仕事の1つです。見た目と法律上の線引きが異なることもあるため、しっかりした公図が見当たらなかったり、現況が書類と違う場合には、一度土地家屋調査士に相談すると良いと思います。
業務内容その2:不動産登記申請の代行
上記の境界線測定が終わったあとに、土地の分割を行うことを土地地積更正登記と呼びます。お隣さんとの境界確認書を取り交したり、道路との境界証明書を取得したりといった手続きが必要となりますが、これらを代行してくれるのが土地家屋調査士の仕事です。
代行手続きに必要な料金は、ケースによって様々です。測量しやすい地域なのかそうではないのか、人の出入りの多い場所なのか少ない場所なのかなど、料金に影響を与える項目はたくさんあります。また現況と書類の不一致がある、許容できない誤差があるなど、手続き上の難しさがある場合には、追加料金が発生することもあります。土地家屋調査士間でも数倍近くの見積もり価格差が生じることもあるそうなので、登記申請をする場合には、いくつかの事務所を回った方が賢明です。
2.土地家屋調査士が行える「登記」について。
ひとくちに不動産の登記といっても、その種類には実は2種類あります。その2種類とは、土地の権利関係に関するものと、表示に関するものです。くわしく見ていきましょう。
⇒土地込みの不動産を売却する際、測量は必須なのか?測量の重要を検証する
土地の権利に関する登記
土地の権利関係とは、土地の所有者は誰なのか?抵当に入っているなど他人がかかわっていないか?といったものです。土地の所有者が変更されたり、融資を受けて抵当権が発生したりした場合には、これらの権利関係を不動産登記情報として残す必要があります。
これら土地の権利関係に関するものは、土地家屋調査士ではなく、司法書士が担当します。中には1人の先生が、司法書士と土地家屋調査士の2つの資格を持っていることもあり、担当者を変えることなく一連の手続きを行ってもらえる事務所もあります。相続に詳しい先生や、不動産投資に詳しい先生など、人によって得意不得意があるので、目的に合わせて事務所を選ぶと良いでしょう。
土地の表示に関する登記
土地家屋調査士が主役となるのは、この「表示に関する登記」です。表示というのは、土地や建物などの見た目のことを指していて、広さや形、その所在など物質的な部分がこれにあたります。
これらの表示部分は、土地家屋調査士によって調査され、法務局で登記手続きが行われます。これによって誰もが情報を確認できるようになり、トラブルを未然に防ぐことができます。
ちなみに、土地の登記や不動産の登記は土地家屋調査士が行いますが、不動産そのものの価値判断をすることはできません。その仕事は不動産鑑定士という別の資格保持者が行うため、ここでは割愛させていただきます。
⇒不動産界隈の専門家、購入・売却で相談すべき人をまとめてみた。
まとめ
土地家屋調査士の資格について、いろいろと述べてきました。とても難関な資格で、素人がかじった程度でたちうちできるものではありません。それだけ測量や登記は難しく、手続きも大変だということです。不動産売却には登記情報の確認が必須。
もし不動産の登記情報や測量方法に興味があったり、売却の際にトラブルになりそうなのであれば、お近くの土地家屋調査士に相談してみると良いと思いますよ。不動産鑑定とはまた違った視点でアドバイスをもらえるかもしれません。