不動産において、「一括」とつくものは非常に便利に使われています。
その中でも
・一括売却
・一括競売
・一括査定
は、どれも「一括」とついていますが全く意味の異なるものです。
パッとみただけではわからないものですが、それぞれの単語はどういった意味なのでしょうか?
詳細を解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
◆「一括売却」とは?
不動産の競売は、基本個別に売却する方法が主流です。しかし、これらを一括して売却する方法があります。民事執行法61条にも下記のように書いてあります。
相互の利用上不動産を他の不動産(差押債権者・債務者が異なる場合を含む)と一括して同一の買受人に買い受けさせることが相当であると認めるときは、これらの不動産を一括売却できる |
このように、複数の不動産を1セットに売却する方法を「一括売却」と言います。
例としては、古いマンションで敷地権がない物件などを売る際、土地の持ち分と建物が別の不動産になり敷地利用権と専有部分の分離処分が区分所有法で禁止されているので、一括での売却となります。
敷地権が設定されている物件は、建物に登記がされているので一括売却にはなりません。敷地権の制度は昭和58年の区分所有法の改正により導入されたので、現在競売に出ているようなマンションはほとんどが敷地権登記を設定したマンションになっています。そのため、一括売却のマンションは非常に少ないとお考えて間違いないでしょう。
複数の不動産を競売に出す場合、一つずつ売るか複数を1セットにして売るかを判断するのは裁判所です。バラバラで売ることは「個別売却」と言います。
しかし、近年では空き家問題などもあり家やマンションが売れにくくなっています。バラバラで売るとなると売れにくい分譲マンションも、一棟丸ごと売ることで売却額が跳ね上がった渋谷の分譲マンションもありました。立地によっては、マンション一棟で売りに出した方が価値が上がるものもあります。その場合入居者全員の承諾が必要なので大変ですが、老朽化した分譲マンションなどはこういった方法が得策なのかもしれません。
◆「一括競売」とは?
「一括売却」と似ている「一括競売」ですが、これは更地に抵当権が付けられた土地に建物が建てられた場合、土地と一緒にその建物も競売に出すことが出来るという制度です。似ていますが、全く違うものなので、混同しないよう気を付けてください。しかし、別の制度ながら競売の時は上手に使うと非常に有利な売却が出来ます。
また、「一括競売」に関する民法は389条でこのように規定されています。
抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。 |
【一括競売の要件】※いずれも
・抵当権設定当時に土地上に建物が存在しない
・抵当権設定後に抵当土地上に建物が築造された
◆「一括査定」とは?
一括査定は、一つのシートを入力するだけで様々な企業に相見積もりが出来る査定サイトです。個人で不動産を売る際、専門家の不動産会社を探す際に一括査定サイトに登録して複数社に査定してもらいます。不動産は金額も大きく最低でも4社は査定をしておいた方がイイと言われているので、サンプルが多いに越したことはありません。車を売るときや引っ越しのときなど、一括サイトは様々な種類があります。不動産を売却する際も同じように、比較検討はマストです!
不動産会社は個々によって違うので、得意分野や実績などに差があります。また、やる気も担当者によって違いますので、実際に接してみないとわからないことも多いです。そのため、数をこなしましょう。相手も商売なので上手く言ってきますし、素人相手だとナメられることもあります。真摯に売却案を出してくれたり、わからない単語を教えてくれたりする良い不動産業者と出会うためには、なくてはならない存在です。
不動産を売却する際は、一括査定サイトに登録を行い、複数社と会話してみて媒介契約を結ぶ相手を決めましょう。(⇒【売却の際の不動産選び】3つの媒介契約のメリット・デメリット)
⇒不動産会社が儲かる仕組みとは?売却時は一括査定サイトで比較検討
⇒『不動産売却一括査定サイト』をやってみてわかったこと【実況】
⇒不動産一括査定を利用して楽しよう!メリットとデメリットを理解
⇒不動産の高値売却成功術4つ『一括査定サイト』で依頼後に知りたい重要事項
一括査定サイトのメリット・デメリット
メリット
・複数の不動産会社で同時に査定を行える
・無料で査定できる
メリットはもちろん、上記の通りです。不動産の査定は複数行うほうが精度が上がるので、一括で行えることにより楽になります。そして、それらがすべて無料でやってくれるというのはこちらとしても嬉しいですよね。大いに活用し、可能な限り高値売却を目指しましょう!
デメリット
・求めている業者が登録していない可能性もある
・営利面が目立つ場合も
もちろん、メリットがあるだけではありません。デメリットといえば主に業者への不満ではないでしょうか。
第一に、求めている業者が登録されているとは限りません。細かく言うと、不動産仲介業を営むには「宅地見物取引業」の免許を持っている必要があり、国土交通大臣に許可されたものと、都道府県知事に許可されたものの2種類が存在します。
都道府県知事免許の場合は、その許可をもらった都道府県にしか営業所を置くことができず、2県以上の営業所を持つ場合は国土交通大臣に許可された免許が必要になります。営業所がなくても他の県で営業することは出来ますが、不動産は現場に見にいったり案内することを考えると、知事免許=その都道府県というのが基本だとお考えください。あまりにも遠方だと意味がありません。そして、すべての宅地見物業者のうち、大臣免許は約2%、知事免許が98%という割合になっており、ほとんどが1つの都道府県を決めて営業所を構えている業者だということを意味しています。宅地建物取引業者は123,307業者あります。(平成28年3月31日現在)
査定サイトに載っている業者は、特に多いところでも1000業者ほどなので、全体でみるとほんの一部なのです。
その中から数社しか見れないので、良い業者に当たることは確率論になってきます。中には営利面が目立つ業者もいるので、そういったデメリットは一括査定サイトの場合は仕方がないことだと割り切っておく必要があるでしょう。
総合的に、一括査定サイトの利用はオススメ
いまでは一括査定サイトはなくてはならない存在になりつつあります。
一括査定をした査定額はあくまでも目安ですが、近くの不動産会社を一軒一軒回るよりは遥かに効率的で簡単で確実な方法です。家を売る際は上記を踏まえた上で上手に利用することをオススメします♪
☟まずは査定から!