親から不動産を相続したものの、その活用方法が分からずにほったらかしにしている人、少なくありません。
しかし、どうすればいいか分からないと言って何もしないと、せっかく相続した不動産の価値が下がり、余計な税金を支払わなければならない可能性も出てきて、かえって危険です。
そんなことにならないよう、ここでは相続した不動産を売却する際の流れ、税金、注意点などを紹介していきます。
■不動産相続や売却にかかる税金
まずは、不動産の相続や売却でかかる税金について知っておきましょう。
▲登録免許税
相続した不動産の名義を、亡くなった親御さんから自分に名義変更したとき、それが相続登記による変更ならば、「登録免許税」が発生します。
登録免許税の税率は、「固定資産税評価額の0.4%」と定められていますので、相続した不動産の固定資産税評価額が2,000万円の場合、登録免許税はその0.4%の8万円です。
納付方法は収入印紙を使って行い、相続投機の申請書を提出する際に、申請書に収入印紙を貼り付けることによって納付します。
▲相続税
相続した財産の合計金額が、基礎控除額以上となった時、相続税が発生します。
基礎控除額とは、「5,000万円+法定相続人の数×1,000万円」ですので、法定相続人が2名であれば、相続した財産の合計が7,000万円を超えない限り、相続税を支払う必要はありません。
相続開始から10か月以内に、相続税の申告と納税をする義務があります。
▲固定資産税
相続した不動産を売却せずにそのまま所有していると、相続人に対して毎年固定資産税が発生します。
固定資産税の税率は、「固定資産税評価額の1.4%」となっております。
不動産の築年数が経過するにつれて資産価値は下がっていきますので、放置しておくのは得策ではありません。
⇒固定資産税の仕組み、知ってる?不動産売却するなら知っておこう
▲不動産譲渡税
相続した不動産を売却したら、不動産譲渡税を支払わなければなりません。
不動産譲渡税の税率は、「不動産売却で得られた利益の20%」と定められています。
不動産取得(亡くなった親御さんが実際に不動産を購入した価格)で4000万円、売却で5000万円の場合、1000万円の利益が出ますので、不動産譲渡税はその20%の200万円です。
もし、亡くなった親御さんがいくらで不動産を購入したか分からない場合、「売却金額の5%」が不動産譲渡税となります。
上記のケースで、売却金額5000万円の5%となりますと不動産譲渡税は250万円となり、購入価格を知っている時と比べると高額になってしまいます。
▲印紙税
あまり意識はしませんが、売却する際に印紙税もしっかりと払っています。
記載された売却金額に応じて、収入印紙の金額が決まっておりますが、平成30年3月いっぱいまでは軽減措置があります。
500万円~1000万円だと印紙税は5,000円、1,000万円~5,000万円だと印紙税は1万円となります。
▲消費税
土地売買そのものには消費税はかかりませんが、不動産業者に仲介してもらって売却した場合、仲介手数料に対して消費税8%が加算されます。
■相続した不動産を売却するまでの流れ
ここからは、不動産を相続してから売却するまでの流れを見ていきましょう。
①相続人で遺産分割協議をする
相続人が複数いる場合には、遺産の分配について話し合いを行ない、その協議の結果を「遺産分割協議書」に記します。
遺産分割協議書がまとまってはじめて、不動産売却の次のステップに進むことができます。
②不動産の名義人を変更する
現在は亡くなった親御さんの名義になっている不動産の名義を、相続人に変更しましょう。
現在の名義人を「登記済権利証」で確認したら、不動産所在地の法務局で「所有権移転登記」の手続きを取ります。
この手続きが完了したら、相続した不動産をどうしようが自由です。
③不動産業者に連絡をする
とはいえ、自分で売主を探して売買契約などもすべて自分で行うとなれば、相当な労力と時間、そして知識が必要となりますので、不動産業者に依頼をするのが一般的です。
どの不動産業者を選ぶかによって売却価格にも大きな差が出てきますので、不動産の一括査定サイトなどを利用するといいでしょう。
④不動産を売却する
⑤確定申告や納税を行なう
これで、相続してから不動産売却までの一連の流れは終了です。
■相続した不動産を売却する際の注意点
▲不動産の名義人はしっかりと確認
不動産は親の名義だと思ったら祖父のものだったという場合、祖父の相続人は誰かを確認しなければなりません。
▲相続してから3年10か月以内に売ろう
不動産を相続後、3年10か月以内に売れば、住民税や所得税の課税が軽減されます。
具体的には、支払った相続税の金額の売却であれば、課税されません。
▲地目に注意
相続した土地が農地の場合、そのまま売却するとなると売主は農家でなければなりません。
それを避けるには、農地転用という手続きを行ない、宅地などに変更すれば不特定多数の人を売主にできます。
いかがでしょうか?
税金や手続きはほぼ決まった流れですが、どのような問題が発生するかはケースバイケースです。
不動産業者と連絡・相談をしながら、問題を乗り越えていきましょう。
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