自分の不動産を売却するときには、日本人以外にも外国人が検討する場合があります。しかし、日本人と外国人では文化や商慣習などが異なるため、多少日本人とは違った対応をしなくてはいけません。
基本的には、不動産会社の営業担当者が直接対応しますが、売主としてもトラブルリスクなどは把握しておくべきです。そこで今回は、外国人に不動産を売却する際の注意点を解説します。
1.商慣習や文化の違い
まず、外国人に不動産売却をするときには、そもそも商慣習や文化が異なる点を認識しておきましょう。これらを認識しておかないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
1-1商慣習について
日本と海外の不動産における商慣習の違いは以下のような点です。
・ホームステージングサービスが一般的
・ホームインスペクションが一般的
・片手取引が一般的
ホームステージングサービスとは、中古物件を売却するために家具などをレンタルして、部屋をコーディネートしてから売却するという手法です。今は、日本でホームステージングサービスは少しずつ浸透していますが、まだまだメジャーとはいえません。
しかし、特に欧米ではホームステージングサービスは主流といえるので、日本の中古物件の内覧時には大きなギャップを感じることがあります。
また、ホームインスペクションという「建物診断」を一般的に行っている国もあります。2017年時点では、日本では建物診断は努力義務なので、外国人が日本の物件を購入するときに「安全性」を懸念する可能性はあります。
さらに、たとえばアメリカでは買主・売主にそれぞれ別の不動産会社が担当します。しかし、日本では同じ不動産会社が担当(両手仲介)しますので、その習慣の違いに戸惑う外国人もいるかもしれません。
これらの違いは、引渡後や売却中のクレームにもつながる可能性があるので、上手く対応してくれる不動産会社を選ぶことで対策しましょう。
1-2文化の違い
日本人と外国人で、不動産売買における最も大きな文化の違いは、「値引き交渉」にも表れてきます。日本人の特に関東圏の人たちは、値引き交渉をさほどしてきません。もちろん、中古物件であれば値引き交渉することが多いですが、大きな金額の値引きは少ないです。
しかし、特に中国系の方々は、日常的に「モノを値引く」のが普通になっています。そのため、不動産購入時でも平気で10~20%程度の値引きを求めてきます。
このような値引き交渉への対策は、前項と同じく不動産会社の営業担当者が鍵を握っています。値引きに迎合せずに、上手く交渉できる営業担当者を選ぶようにしましょう。
1-3.住宅ローンに通りにくい
また、外国人は住宅ローンに通りにくいという点も認識しておくべきです。住宅ローンは、継続的かつ安定的な収入があるかどうかが大きな判断材料となります。そして、金融機関によっては「永住権が必須」という金融機関も多いです。
金融機関からしてみても、住宅ローンを延滞したまま母国に帰られると、追跡するのが非常に困難になるので無理もありません。そのため、外国人の購入者検討者が現れたら、早めに審査をしましょう。まずは、住宅ローンが組めるかどうかを確認することが先決です。
2.空き家バンクについて
今日本では、空き家が増え過ぎており、その空き家による「景観阻害」「犯罪リスク」「災害リスク」などを懸念して、日本政府も空き家対策に乗り入れています。その空き家対策の一環として、空き家バンクの情報を一括管理できるサイトを2017年中に開設すると国土交通省は方針を固めました。
そもそも、空き家バンクとは各自治体が空き家を「売りたい人」と「買いたい人」をつなげる機関になります。これは、上述したように空き家対策の一環であり、仲介手数料がかからないなどのメリットもあります。空き家バンクに物件を登録しておけば、空き家を購入したい人を紹介してもらうことができます。
さらに、今後はさきほどいった「サイト」が開設されれば、さらに「売りたい人」と「買いたい人」はつながりやすくなります。ホームページから空き家を検索することができるので、今までの「ネット広告媒体」に加えてもう1つ宣伝材料が増えるからです。
また、購入する側からしたら、空き家でも居住中でも、物件が良ければ購入したいです。それは当然外国人も同じで、単純に不動産会社に売買を依頼するよりも、購入側からしても売却側からしても選択肢が増えるということはメリットになります。
3.まとめ
外国人に不動産を売却するときには、以下の点に注意しておきましょう。
・文化や商慣習の違いはクレームや激しい値引き交渉につながる
・不動産会社の営業マンの対応力できまるので、営業担当者の力量は非常に大切
・今後は空き家バンクの活用が増える
最も大事な点は、不動産会社選びになります。外国人が検討するか分かりませんが、エリア的に外国人が居住する可能性が高いエリアなどは特に気を付けましょう。