土地込みの不動産を売却する際は、測量は必須ではありません。しかし、測量をしないといけない場合もあり、測量が正確でない土地は、売ること自体ができなくなります。今回は、そんな測量の重要性を解説します。
1.土地の価値について
土地込みの不動産は、一般的には一戸建てになります。一戸建てを売却するときには、土地とその土地に建てられている建物を一緒に売却します。そのとき、「土地」の価値が非常に大きなものになるため、測量は重要になってくるのです。
1-1土地と建物の価値
そもそも、土地と建物は価値の種類が異なります。土地は劣化するものではないので、年数が経つことによって価値が下がることはありません。土地の価値が下がるとすると、周辺環境の変化や、競合物件の増加など外部的な要因になります。
一方、建物の価値は、築年数が経過していくにつれて落ちてきます。特に、木造の一戸建ては、築20年~25年程度で査定金額が0円になることも多いです。
つまり、一戸建てを売却するときには、その「土地」の価値が非常に重要になるということです。極端な話、築年数が古い(20年以上)一戸建ては、土地にしか価値がない場合も多いということになります。
1-2土地の評価
先ほどいった点も含め、土地の評価は以下の要素で決まります。
・周辺環境
・競合物件の状況
・土地の広さ
・境界の明確さ
特に「土地の広さ」「境界の明確さ」は重要です。この「土地の評価」は、本題である測量の重要性とつながってきます。
1-2-1周辺環境と競合物件
周辺環境とは、たとえば「新駅が誕生」「土地の開発が進む」「商業施設ができる」などの状況です、このような状況であれば土地の価値は上がります。一方、「嫌悪施設ができる」「事件・事故がある」などマイナスの情報があれば、価値は下がってしまいます。これは土地だけでなく全ての不動産にいえることです。
また、不動産に関わらず「モノ」全てにいえますが、競合という「供給」が多くなれば価値は下がります。そのため、まわりで同じような土地が売却されていれば土地の価値は下がります。
1-2-2土地の広さと境界
当然のことですが土地は「広さ」も大切です。1坪○○万円という単位になりますので、土地の広さが少しでも異なれば十万円単位で金額も変わってきます。そして、その土地の広さを明示しているのが「境界」になります。
土地の範囲を示すために、石や金属などの境界杭が埋め込まれており、その境界杭を頼りに土地の広さを定めます。境界杭がしっかりしていないと、その土地の範囲が分からず、結果的にその土地の広さが分からなくなってしまうのです。
2.測量について
前項で、「土地の広さ」と「境界」が土地を評価する上では大切といいました。その「境界」を明示する資料が「地積測量図」や「実測図」といわれる資料であり、その資料をつくるのが「測量」という作業になります。そのため、土地込みの不動産を売却するときには、この測量が大切になってくるのです。
2-1測量とは?
測量とは、測量士や土地家屋調査士の資格を持っていないとできない作業になります。特に、登記を目的とした測量は、土地家屋調査士の資格を持っていないとできません。
測量の方法は色々あり、方法自体の詳細を知っておく必要はありません。しかし、測量をすることで境界杭の確認と、土地の広さを証明する資料を作成できるという点は覚えておきましょう。
そもそも測量の正式名は「土地境界確定測量」と言います。土地同士が接しているところの境界をハッキリするのが役割です。調査を行い、確認を取って確定させます。専門家の手によって行われるので、労力と時間とお金がかかります。まず境界を調査し、境界杭を設置します。これによって二つの土地の境界を確認します。そして、測量の専門家と土地の権利者がそれぞれ集まり、「境界確認書」を確定させたら、作業が終わります。これによって求められる土地の面責が、測量図になっていきます。土地の境界で揉めると後々面倒なので、契約前にやっておいた方が良いでしょう。
2-2地積測量図がない場合
土地込みの不動産を売却する場合には、不動産会社の営業マンは必ず境界杭と地積測量図を確認します。古い物件のときには、以下のような状況になっていることもあるので注意が必要です。
・境界杭が破損しているため境界が分からない
・地積測量図が不正確である
まず、境界杭が破損しているため、目視では境界が分からないときです。境界が分からないということは、隣地との境が分からないということです。そうなると、「越境」などの近隣トラブルリスクが高まります。
先ほどいったように、境界杭自体は石や金属で出来ているため、よほどのことがないと破損しません。しかし、「目の前の道路の舗装工事などで破損する」などのケースはあるため、売却前に確認しておきましょう。
また、地積測量図が不正確であるという場合もあります。特に何十年も売買をしていない土地などは、かなり昔の測量になるので、面積が不正確である場合があります。そのため、測量をし直すケースもあるので、長年取引をしていない土地に関しては不動産会社に対応を相談しましょう。
いずれにしろ、測量をきちんと行い、境界杭がしっかりと存在し、正確な地積測量図がない限りは土地の売買はできません。それほど測量という作業は土地込みの不動産を売る上で重要になるのです。
2-3測量を必要とされる場合
結論からいうと、土地売却をするにあたって測量は必須条件ではありません。法的な効力もななければ、決まりがあるわけでもありません。測量をするかしないかはその人次第です。しかし、後々のトラブルを考えるとしておいた方が良い場合もあります。土地の公簿面積がはザックリですが算出されています。しかし、実測されたわけではないので多少の誤差が生じます。売却する際に、どうしても正確な面積が知りたいという場合は必要になってきます。
実際に、購入希望者から測量を求められることも多いです。中でも売主が費用を出して計測するパターンが多いようですね。
下記のようなケースは測量を求められることが多いので頭に入れておきましょう。
・塀やフェンスがなく境界がわからない
・境界杭がまったくない土地である
・1平方メートルあたりの地価が高い土地である
測量を求められたとしても、強制ではありません。するかしないかは本人の判断です。あくまでも多いケースは購入希望者の要望に応え、売主が費用を負担し測量することが多いです。後々隣人トラブルなどにもなりかねないので、測量をしておいた方が安心だと考える人は多いのです。
購入希望者の購入したいという気持ちを減らさないためにも、クレームにならないためにも測量をして対応しておくか、といった売主を良く見受けられます。ただし、実際に購入希望者が購入しなかったときのことを考えると、あまりオススメはできません。
2-4測量にかかる費用・期間は?
実際に測量することにしたら、気になるのは「費用」です。土地の測量にはいくらくらいかかるのでしょうか?
地域や広さによって異なりますが、一般的な費用相場は30万円~50万円です。
測量を行うのが専門家で「土地家屋調査士」ですので、不動産会社に紹介してもらう形ですと紹介料(マージン)も発生し、値段が高くなることもあります。
知り合いにいればその人にお願いし、少しでも値段を下げたければ自分で探して依頼する方が良いでしょう。インターネット上でも探そうと思えば可能です。
【高額になるケース】
相場は30~50万円ですが、状況によっては高額な費用になるケースもあります。
それは下記のような例です。
・土地の隣が私有地や国有地
・土地の形状が特殊で複雑になっている
・隣の土地の所有者とトラブっている
・車でも行かないような奥地に土地がある
特に高額になることが予想されるのは「土地の隣が私有地や国有地の場合」です。一般的な測量ではなく、国が定めた専門的な調査工程が加わるので、測量出来る調査士も限られますし、手間と時間がかかるので費用も一気に高くなります。60万円~100万円ほどかかってしまう場合もあるでしょう。
【かかる期間はどのくらい?】
平均して3ヵ月から4か月ほどです。思ったよりもかかる!と思いませんでしたか?ちなみに、トラブルがない場合は1ヶ月~1ヶ月半ほどで完了します。しかし平均すると結構かかる印象ですね!
初めは私もそう思った一人でした。余談ですが、筆者が不動産を購入した際、当初2ヵ月後には契約を完了している予定でした。しかし、隣の所有者が目の前の道路を自分の土地だと言い張り少しトラブっていたので、測量をお願いして契約が完了するまでにとても時間がかかったことがあるのです。私の場合は、測量に伴う交渉も含めると測量自体にかかった時間は4ヵ月ほどかかりました。契約自体はその分伸びましたので、半年ほどかかってしまいました。しかし、まだ早い方だったのかもしれません。
長い方ですと1年以上かかったケースまであります…。思った以上に時間がかかってしまうのが測量です。早く売却させることを優先したい場合は早めに対処しておくことをオススメします。早期売却を強く希望する方はほとんど売却開始前に率先して測量を行っています。
3.まとめ
このように、土地込みの不動産を売却する場合には、測量によってできる地積測量図が大切になります。万が一作り直す場合には費用も掛かってきますので、測量士を斡旋するなど、サポート体制がしっかりしっている不動産会社がおススメです。