不動産を売却する際、業者と「媒介契約」を結ぶことで販売促進活動を行ってもらいます。
「媒介契約」には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」という3種類があり、それぞれに特徴があり、メリット・デメリットも違います。
それぞれの概要を知って、どの媒介契約が自分に合っているのかを見て参考にしてみてください。
◆専属専任媒介契約
専属専任媒介契約とは、不動産会社1社にしか依頼出来ない契約です。もしも、自分で買い手を見つけて成約することは禁止されています。もし他社の媒介や自分で買い手を見つけて成約した場合は、違約金が発生します。また、仲介業者は売主に1週間に1回以上の状況報告が義務付けられています。
次で紹介する「専任媒介契約」と非常に似ていますが、専属専任媒介契約のほうが自分で買い手を探すことが禁止されている点と状況報告の頻度がより厳しくなっています。
<メリット>
・窓口が一つなので、情報を整理しやすい
業者が1社なので、内見スケジュールや価格交渉などの買主とのやり取りを混乱せずに行うことが出来ます。複数いると、どうしてもスケジュール管理が大変だったり業者を混合したりといったトラブルが起こりかねません。
一つの業者とのやり取りだけでも大変なので、混乱しないためには大切なことでしょう。
・販売促進活動にしっかり取り組んでもらえる
依頼された業者は、競合がいないので販促活動をしっかり行えば返ってくるので俄然やる気になるでしょう。
また、広告・宣伝にしっかり費用をかけることが出来るので良い買い手さんに出会える確率は上がります。
<デメリット>
・両者から仲介料を取るために情報を開示しない業者もいる
一社しか選べないので、その業者が悪徳業者だった場合は困ります。例えば売り手・買い手どちらからも仲介手数料を取るために他の不動産に情報を流さず、自社で買い手を見つけてくるなどのケースです。これを「両手仲介」と呼びます。すべて仲介業者の周辺だけではなく広い範囲で探したいですよね。いずれにしても、自分の利益にしか目がない悪徳業者です。
・依頼した業者によって当たり外れがある
一社にしか依頼できないので、少なからず当たりハズレが出てしまいます。
依頼した不動産会社が賃貸がほとんどで売買に弱い会社であったり、担当者が新人であったりすると、契約後の取引に大きく影響を与えることは目に見えています。
<まとめ>
・1つの不動産屋に依頼し契約を行う
・本人で買い手を見つけて成約することは禁止
・他社で成約したり自分で買い手を見つけて成約したら違約金が発生
・依頼を受けた業者は、売主へ1週間に1回以上の状況報告をしなければならない
・契約後、1週間以内に「レインズ」へのに登録が義務付けられている
◆専任媒介契約
ほとんど上記で紹介した「専属専任媒介契約」と同じです。
しかし、違う点は「買い手を自分で見つけても良い」ということ。ここは大きな違いになります。
自分で見つけた買い手と契約する場合は、営業経費などの支払いをしなくてはいけませんが、全面的に禁止ではないので少しでもあてがある方はこちらが便利。
<メリット>
・窓口が一つなので、情報を整理しやすい
・販売促進活動にしっかり取り組んでもらえる
上記で紹介したこちらに加えて、
・買い手を自分で見つけても良い
これが大きな違いであり、メリットになるかと思います。禁止をしていないので、自分で見つけて条件が合えば契約してもOK。
<デメリット>
・両者から仲介料を取るために情報を開示しない業者もいる
・依頼した業者によって当たり外れがある
主なデメリットも大体同じです。
<まとめ>
・依頼できるのは1つの不動産屋との契約のみ
・他社の仲介で成約した場合は違約金が発生
・自分で買い手を見つけた場合は、営業経費などの費用を支払わなければならない
・依頼を受けた仲介業者は、売主へ2週間に1回以上の状況報告が義務づけられている
・契約後、7日以内に「レインズ」に登録しなければならない
◆一般媒介契約
他の二つの媒介方法とは違い、一般媒介契約は複数の仲介業者に依頼することができます。
<メリット>
・複数の不動産屋さんに依頼できる
3つの中で唯一、複数の業者に依頼することが出来ます。複数の業者が同時に動いてくれるので、最も効率的でしょう。
・ハズレ業者があっても他の業者でカバーできる
一社に絞られていないので、未熟だったり悪徳な業者がいても他の業者が優良であれば問題なく進めることができます。
広告や販促を進めていくうちにダメな業者だと分かっても、質より量でカバーできます。
・ライバル意識で競い合い、早い段階での売却が期待できる
依頼された業者同士が契約を取るために競い合い、より良くなっていけば良質な買い手と早期売却の完了になるのが理想の形でしょう。
<デメリット>
・複数ある業者の整理が大変
買い手との窓口が一つだと整理もしやすいですが、複数あると混乱しがちです。
スケジュール管理や交渉事などで間違えてしまっては大変なことになりますし、気が抜けないのはデメリットと言えるでしょう。
・不動産業者のモチベーションの低下
業者が複数あるので、自社が選ばれる確率は下がり、「他の業者もいるからいっか」と雑に扱われてしまう可能性があります。
業者同士が切磋琢磨をするというメリットがあくまでも理想論の可能性があります。
これによって引き起こることといえば、広告・宣伝を全然してくれなかったり、積極的になってくれないなどです。
1社だけに依頼するよりもコストをかけられないなどの問題もあり、なかなか進まないことも予想されます。
・報告義務がないので、進捗がつかみにくい
他の媒介契約とは違い、報告義務がないので、どのくらい進んでいるのかも、動いてくれているのかもわからない可能性があります。
専属専任媒介契約(1週間に1回)、専任媒介契約(2週間に1回)の報告義務があるのとないのでは、大きな違いが出てくるかもしれません。
<まとめ>
・複数の不動産屋と媒介契約を結ぶことができる
・契約する社名は明らかにしなければならない
・明示していない仲介会社の媒介で成約したときは、営業経費など費用を支払う必要あり
・報告義務がない
・レインズへの登録義務はない
◆結局、どれがいいの?
では、結局どの媒介契約が良いのかというと、簡単に答えがあるわけではないのでなんと答えれば良いのか迷ってしまいます。
自分に合った契約方法が一番です。
それでも一番良い方法を選ばなくてはならないとすれば、「専任媒介契約」です。
もちろん、良い業者に当たることを前提として・・・
理由としては、売却が出来れば100%自分たちに入ることで、広告費をたっぷり使えること、やはりトータル的にみて1社のがメリットが多いかなと思います。
いくつか目的別に挙げてみると、下記のような目安が良いのではないかと思います。
・家を売却して次の家を買う方
⇒専任媒介契約
・売却を急いでいる方
⇒専任媒介契約
・売却する物件が人気・希少
⇒一般媒介契約
いずれにしても、複数の業者を見なければならないので一括査定サイトなどでまとめて行うのが良いでしょう。