投資用の不動産を購入する際には、一般的な住宅ローンではなく「不動産投資ローン」を利用するのが一般的です。
この2つのローン商品は、同じ不動産を対象としたローンでありながら、その特徴が大きく異なりますので、住宅ローンのつもりで利用すると思わぬ失敗をするかもしれません。
思わぬ失敗しないためにも、ここでは不動産投資ローンを利用する際に知っておきたいことを紹介します。
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■金利が高い
2つのローンを見比べたとき、投資用ローンの方が金利が高く設定されています。
住宅ローンの金利は、マイナス金利政策の影響もあってかなり低く設定されており、金融機関によって差はあるものの変動金利で年0.3%~3%程度です。
一方の不動産投資ローンは、金利が年4%~7%程度となっています。
これは、担保となる不動産の考え方の違いによるもので、住宅用のローンは住む家が担保となり、万が一返済できなくなったときにはそれを売って借金を回収できます。
しかし、投資ローンで購入する投資用物件には、住宅ほど確実な担保とはなりません。
これが、2つのローンの金利差となっているのです。
■将来の収益が審査で重要となる
住宅ローンの審査では、本人の年収や職業など、債務者本人の返済能力を重点的に審査します。
もちろん、不動産投資用のローンも本人の返済能力は審査しますが、それ以外に投資用物件の将来の利益も審査の対象となります。
サラリーマンの収入と投資物件の収益、より確実なのはどちらかといえば前者ですので、住宅ローンの審査は投資ローンよりも審査が柔軟に行なわれています。
■固定金利が必ずしも有利とは限らない
不動産関連のローン商品では、固定金利よりも変動金利の方が低金利に設定されているものの、景気変動に左右されない固定金利は長期的な返済を前提とする住宅ローンでは人気の金利方式です。
不動産投資ローンにも、変動金利、固定金利期間選択、全期間固定金利がありますが、全期間固定金利が必ずしも有利とは限りません。
そもそも、全期間固定金利は3つの金利方式の中で最も金利が高く設定されています。
それでも、30年~35年程度その家に住み続けることを前提として組む住宅ローンならば、金利変動リスクを避けられていい方法かもしれません。
しかし、不動産の投資ではいつ物件を売却するか分かりません。
ある程度の収益を確保できたら、前の物件を売却してそれを元手に次の物件を購入するかもしれません。
それまでに支払う利息の金額は、変動金利が最も少なくなるのが一般的です。
■物件売却でペナルティが発生する可能性も
不動産の投資では、普通の住宅よりも売るタイミングがいっぱい存在します。
普通の住宅を売るタイミングとしては、転勤、家族が増えるくらいしかありませんが、投資用の物件を売るタイミングはいっぱいあります。
譲渡税の税率が変わる、大規模修繕が必要となる、物件の相場が上昇するなど、むしろ外的要因によって売るタイミングが訪れます。
そんなとき、今持っている物件を売却して、その売却益と収益から投資ローンを一括返済しようと考えるでしょう。
借金をまとめて返済してくれますので、金融機関からすると一見メリットが多いように思える不動産投資用ローンの一括返済ですが、実はデメリットもあります。
最大のデメリットは、利息収入の減少です。
住宅ローンよりも高金利かつ多額で融資している投資向けローンは、多くの利息収入が見込める商品ですが、それを一括返済されてしまっては金融機関の目論見が外れてしまいます。
そのため投資用ローンでは、当初予定の返済年数からの残存期間に応じて、ペナルティが課せられる仕組みとなっております。
返済のタイミングによっては1,000万円以上になることも珍しくないため、注意しましょう。
■借り換えは実績とタイミングが重要
不動産投資ローンでは、3年~5年の期間限定固定金利の商品が人気を集めていますが、それは住宅ローンよりも投資ローンの方が頻繁に借換えを行なう傾向があるからです。
市場金利が下降傾向にあれば、今組んでいる投資用のローンに見切りをつけ、別の不動産投資ローンに借換えをした方がお得です。
ただし前述したように、投資物件は住宅ほどの担保価値がありませんので、借り換え先の金融機関としても融資には慎重となります。
確実に借換えをするためには、まずは実績です。
実績と言うのは物件の収益ももちろんですが、返済実績が何より重要です。
3年~5年の固定金利型ローンの場合、できれば1年以上、最低でも半年は返済しましょう。
魅力的なローン商品を見つけても、金利に目がくらんでろくに返済もせずに借換えをしようとしても、うまくいかないでしょう。
借換えの成功確率は、残債に比例します。
返済実績が長いだけでなく残債もできるだけ少なくしておくと、借り換えの際に有利に働きます。
特に、担保価値があまり見込めない投資物件の場合は、残債を少なくしておきましょう。